第49回衆院選は1日未明に全465議席の当選者が確定した。自民は追加公認2人を含めて過半数(233)を占め、国会運営を主導できる絶対安定多数(261)に単独で達した。3増した公明の32議席を合わせ与党で293議席を確保した。岸田文雄首相(自民党総裁)は1日、記者会見に臨み、「岸田政権のもとで未来をつくり上げてほしいという民意が示されたことはありがたく、身が引き締まる」と語った。新型コロナウイルス、経済、安全保障の対策強化に尽力する姿勢もアピールした。
首相はコロナ対策を含む大型経済対策を11月中旬に策定し、年内の早期に生活困窮者対象のプッシュ型給付金などを含む令和3年度補正予算を成立させる意向も表明した。「これまでの対応を徹底的に検証し、感染症危機管理の司令塔組織の創設に取り組んでいく」とも述べた。先の総裁選で掲げた「令和版所得倍増」に言及し「成長の果実を給与の引き上げで実感していただく」と強調した。
選挙戦で言及した敵基地攻撃能力の保有をめぐっては、北朝鮮の弾道ミサイル発射などに触れた上で「現実的に国民の命や暮らしを守れるかを不断に検討していくことが大事だ。さまざまな選択肢の一つとして議論していくべきではないか」と語った。防衛費を国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に増額する自民公約に関しても「現実を見据えた上で考えていく」と述べ、増額に慎重な公明党との調整に意欲を示した。
衆院選は自民の単独過半数割れもあり得るとの情勢調査もあったが、多くの接戦区で立憲民主、共産両党などの野党統一候補に競り勝ち、最終的に公示前(276)から15減にとどまった。立民は公示前の110から14減の96。日本維新の会は公示前の11から41へ大幅に議席を増やし、公明を抜いて衆院第3党に躍進した。共産は2減で10、国民民主党は3増の11だった。
首相は1日、公明の山口那津男代表と会談し、連立政権の合意文書に署名。コロナ対策や経済再生など、10月の岸田政権発足時に合意した10項目の政策分野を推進する方針を確認した。