京極夏彦さん「賞知ってもらいたい」乱歩賞贈呈式

合同贈呈式で記念撮影に臨む江戸川乱歩賞を受けた(左から)桃野雑派さん、伏尾美紀さん、日本推理作家協会の京極夏彦・代表理事、日本推理作家協会賞を受けた坂上泉さん、結城真一郎さん、真田啓介さん=1日、東京都豊島区
合同贈呈式で記念撮影に臨む江戸川乱歩賞を受けた(左から)桃野雑派さん、伏尾美紀さん、日本推理作家協会の京極夏彦・代表理事、日本推理作家協会賞を受けた坂上泉さん、結城真一郎さん、真田啓介さん=1日、東京都豊島区

ミステリー作家の登竜門である第67回江戸川乱歩賞(日本推理作家協会主催)の贈呈式が1日、東京都豊島区の「東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)」で行われ、今年の受賞者に決まった伏尾(ふせお)美紀さん(54)と、桃野雑派(もものざっぱ)さん(41)がそれぞれ喜びや抱負を語った。

同賞は今年度から乱歩ゆかりの東京都豊島区とパートナーシップを結び、贈呈式を初めて一般公開で実施。関係者や招待客を含め約500人が作家たちの言葉に耳を傾けた。式の動画はオンラインでライブ配信された。

贈呈式の冒頭、日本推理作家協会代表理事で作家の京極夏彦さんは一般公開することに触れ、「一人でも多くの方にこの賞を知ってもらいたいし、祝ってもらいたい。かないますならば受賞作を手に取ってお読みいただきたい。小説は読者に届いて完成しますから」と語った。

伏尾さんの受賞作「北緯43度のコールドケース」(「センパーファイ-常に忠誠を-」を改題)は、北海道警の女性刑事を主人公にした警察小説。「長年ミステリー小説家になりたいと思っていたけれど、書き上げられないままこの歳になった」。伏尾さんはそう振り返った上で「10年早くデビューできたらとも思うが、受賞作は今この時でしか書けなかったもの。未熟な部分は『伸びしろ』とポジティブにとらえて今後もたくさんの作品を世に出していきたい」と話した。

一方、敬愛する米のミュージシャン、フランク・ザッパから筆名を取ったという桃野雑派さんの受賞作「老虎残夢(ろうこざんむ)」は宋代の中国・江湖地域を舞台にしたミステリー。桃野雑派さんはスピーチで「僕が作家になると決めたのは5年前。プライベートで落ち込んでいたときに、甥っ子が生まれることになった。甥っ子に恥ずかしくない人間になりたいなと思った」と明かし、周囲の人々への感謝を口にした。

この日は、コロナ禍のため延期となっていた第74回推理作家協会賞の贈呈式も合同で行われた。