主張

岸田首相の続投 安定勢力で成果を挙げよ 対中抑止に本腰を入れる時だ

所得格差の是正には経済全体の賃金水準の底上げが求められる。これは安倍晋三、菅義偉両政権が十分になし得なかった難題だ。一過性のばらまきとはせず、企業の継続的な賃上げを促す道筋を明確にすべきだ。

外交安全保障は大きな争点にならなかった。4年前の衆院選で北朝鮮の核・ミサイル問題が国難とされたのとは対照的だ。

だが、今回衆院選の公示日には北朝鮮が日本海へ向けて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した。選挙期間中には中国とロシアの合同艦隊10隻が日本を周回した。この艦隊は伊豆諸島付近でヘリを発艦させる演習を実施し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。日本へのあからさまな威嚇である。

早期訪米で日米会談を

日本をとりまく安全保障環境は厳しい。台湾危機や北朝鮮による拉致、核・ミサイル問題などへの対応を、与野党はもっと語るべきだった。

立民や共産党などは、安全保障関連法の「違憲部分」廃止を唱えた。集団的自衛権の限定行使容認の道を閉ざすもので、日米同盟を機能不全に陥れる政策だ。この政策の危うさや厳しい国際情勢を、岸田首相や与党は具体的に指摘し、対中抑止や防衛力の強化の必要性を訴えるべきだった。そこに力を入れなかった点は、自民の議席減の理由の一つであろう。

岸田政権が、防衛力充実や経済安全保障を推進し、対中抑止を強化しなくては平和は守れない。国民への明快な説明や公明の説得に努めてほしい。首相は31日夜、バイデン大統領と会談するため早期に訪米したい意向を示した。台湾問題をはじめとする対中戦略や日米同盟強化を話し合うべきだ。

共産などと選挙協力した立民は振るわなかった。基本政策の異なる共産との「閣外協力」路線は、政権への道をかえって閉ざす点にも気づくべきである。与党批判票の受け皿となった日本維新の会は大幅に勢力を伸ばした。憲法改正論議をリードするとともに、現実的な安保政策を推進する行動が期待される。