陳銘俊の一筆両断・特別編

台湾はTPP加入で世界の経済発展に貢献

私は令和3年10月1日付で台北駐福岡経済文化弁事処の処長(総領事に相当)に着任した陳銘俊と申します。福岡駐在の「総領事」は、九州・山口を中心に、日本と台湾の一層友好な関係を形成するとともに、この地域に生活する台湾人の生命と生活を守る責任を負っています。

私は、これまで東京や大阪で勤務したり、大学で学んだりした経験がありますので、日本や日本の人々について一定の知識を持っているつもりですが、今回福岡勤務を拝命し、トータルで日本の多くの人口をカバーする地域の人々と接触する機会を得たことをきっかけに、より広く、高い視点から日台関係のさらなる発展につながるための意見を述べさせていただきたいと思います。そして、それが台湾人の考えを理解して頂くことにつながれば幸いだと思っています。

その第一は、台湾の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入の問題です。TPPは日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、カナダ、ペルー、チリ、メキシコの11カ国が参加する自由貿易協定の一つで、アジア太平洋地域の人口5億人をカバーしています。参加国の国内総生産(GDP)は10兆ドルを超え、世界全体の約1割を占めています TPPはお互いの関税をなくしたり、投資のルールを透明にしたりすることで、貿易や投資を活発にして世界経済を発展させる狙いがあります。トランプ政権の下で離脱したアメリカが復帰すれば、さらに大きい規模となります。

台湾の蔡英文総統は、2016年の就任時からTPP加盟を切望してきました。現在の台湾経済は中国に大きく依存し、輸出は4割強を占めています。統一圧力を強める中国への依存度を引き下げるためには、TPPに加盟する必要があります。もし中国が台湾より早くTPPに加盟した場合には台湾の加入は絶望的になるでしょう。加盟国すべての賛成があることが加盟条件だからです。幸い、今年(2021年)は日本がTPPの議長国の立場にあります。日本の強いリーダーシップの下で、台湾のTPP加盟が実現すれば、台湾の経済を大きく変革・発展させるとともに、民主主義、自由経済のルールの下で世界全体の経済発展に貢献できると考えています。