柔道男子、鈴木桂治代表監督のもう一つの挑戦 スポーツジムで柔道教室「スイミングと同じように」

子供にゴムチューブを使ったトレーニングをさせるのも簡単ではない。五輪金メダリストの鈴木桂治氏(右)も大苦戦だ=さいたま市大宮区
子供にゴムチューブを使ったトレーニングをさせるのも簡単ではない。五輪金メダリストの鈴木桂治氏(右)も大苦戦だ=さいたま市大宮区

同じ敷地内には体操教室やプールがあり、充実したトレーニング機器もある。その中で、武道というよりもアスレチック教室のような感覚で、子供たちに体を動かす楽しみを味わってもらいたい-。

「いままでは、小さな子がスポーツの習い事を始めるとすれば、スイミングスクールがほとんどだった。いろいろな体の使い方を水泳で覚えて、他のスポーツに移ることもできる。同じような入り口として柔道もあっていいんじゃないか」。開講の背景には、そんな思いがあった。

子供たちが柔道を始める契機は、「親に勧められて」「兄や姉がやっていたから」というケースが大半といわれる。例えば東京五輪女子52キロ級で金メダルを獲得した阿部詩(うた、日体大)は、同じ大会で男子66キロ級を制した兄の一二三(ひふみ、パーク24)の練習を見るために、道場についていったのが柔道との出合いだった。詩が5歳のときだ。

鈴木氏が3歳で柔道を始めたのも、郷里の茨城県石下町(現・常総市)の道場で夜遅くまで汗を流す兄がいたからだ。「いまの柔道界は間口が狭すぎると思う」と鈴木氏。教室の開講へと背中を押した、もう一つの理由でもある。

現役時代の鈴木氏は「日本の重量級は強くなければならない」という一徹さがありながら、両足のさばきが軽やかで、多彩な足技を使いこなす柔軟な頭の持ち主でもあった。聞けば、小学生のころは柔道と掛け持ちでサッカーにも本格的に取り組んだという。この経歴もまた、柔道界では異色といっていい。

自由度の高い生き方は、現役引退後のセカンドキャリアにおいてもフットワークの良さにつながっているのかもしれない。

「子供がスポーツに親しむきっかけとして、これまでなかった柔道が選択肢の一つにあってもいい。例えば、スイミングスクールを選ぶような感覚です」