柔道男子、鈴木桂治代表監督のもう一つの挑戦 スポーツジムで柔道教室「スイミングと同じように」

体験会に訪れた子供たちはほとんどが初心者。鈴木桂治氏(左)から柔道着を贈られると、目を輝かせて袖を通していた=さいたま市大宮区
体験会に訪れた子供たちはほとんどが初心者。鈴木桂治氏(左)から柔道着を贈られると、目を輝かせて袖を通していた=さいたま市大宮区

柔道の日本男子代表監督に就任した鈴木桂治氏(41)が、1人の柔道家としても新たな挑戦に乗り出した。JR大宮駅に近いスポーツジムの敷地内に間借りし、アスレチック教室のようなライトな感覚の柔道教室「鈴木桂治 柔道アカデミー」を10月から開いている。本格的な柔道を身に付ける町の道場とはやや趣が異なる。さまざまな動作を要する柔道を通じて子供たちに体を動かす喜びを知ってもらい、自分の世界を広げるきっかけにしてほしいという。

「子供たちの成長を後押ししたい」と語る鈴木桂治氏。柔道を通じて、体を動かす喜びを知ってほしいという=さいたま市大宮区
「子供たちの成長を後押ししたい」と語る鈴木桂治氏。柔道を通じて、体を動かす喜びを知ってほしいという=さいたま市大宮区

「楽しく柔道を覚えてもらい、柔道を通じた子供の教育と運動能力の向上を目指したい。五輪金メダリストや世界王者を育てるのが目的ではありません」。鈴木氏は開講した教室のビジョンをこう語る。

教室が開かれているのは、JR東日本スポーツが運営する大型スポーツジム「ジェクサー・フィットネス&スパ大宮」(さいたま市大宮区)の一角。町道場と違うのは、間借りしたスペースに着脱可能な青畳を敷き、臨時の道場を開設している点だ。鈴木氏は指導者の派遣と授業内容を考案する監修の立場で、このような取り組みは柔道界初という。

対象は未就学児から小学生までの「キッズ」と呼ばれる年代だ。9月下旬に開いた体験会では、柔道の心得が全くない子供たちが多く集まった。

鈴木氏が五輪金メダリストとして輝いたのは、2004年のアテネ大会。子供たちは、かつての英姿を知らない。鈴木氏の声に耳を貸さず、青畳の上を奔放に走り回る子もいて一筋縄ではいかない。指導は1クラスにつき約1時間。「小さな子は集中力が持って15分。彼らの気持ちを理解しながら、こちらの思いを伝えるには指導技術が必要です」。悪戦苦闘の現場にも鈴木氏は楽しげだ。

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