衆院選九州・山口 ベテラン倒れ自民減退

支持者を前に敗戦の弁を述べる原田義昭氏=10月31日夜、福岡県太宰府市
支持者を前に敗戦の弁を述べる原田義昭氏=10月31日夜、福岡県太宰府市

10月31日に投開票された衆院選で、九州・山口では自民党が議席を減らした。支持層の分裂や世代交代の波にさらされ、閣僚経験のあるベテランの落選が相次ぎ、支持基盤のもろさを露呈した。立憲民主党や共産党などの野党共闘は、候補者一本化によって自民の議席独占に風穴を開けるなど一定の成果はあったが、伸び悩んだ選挙区も多く、効果は限定的だったともいえる。

九州・山口8県の35選挙区で自民は今回24勝11敗だった。平成29年の前回は31勝4敗だっただけに、厳しい結果となった。象徴的なのが、比例復活ができないベテランの相次ぐ落選だ。

福岡5区は、9選を目指した元環境相の原田義昭氏が、立民の堤かなめ氏との一騎打ちに敗れた。

同区には当初、元自民県議の栗原渉氏が出馬の意向を示していて、原田氏と激しい公認争いを繰り広げた。公示直前で党本部は原田氏公認を決定し、栗原氏は出馬を断念。表向き分裂は回避されたが、支持層には大きな亀裂が生じた。

選挙戦では、原田氏の街頭演説や集会に栗原氏本人や栗原氏支持の県議らが出席するなど「一枚岩」を演出した。しかし、自民関係者は「原田氏が栗原氏に配慮する姿勢が見られない。演説でも最後の方に少し触れるくらいで、栗原氏の支持者には不満がたまっていた」と明かす。

選挙戦最終盤の10月29日、栗原氏も出席した福岡県太宰府市での集会で、原田氏はようやく、演説冒頭で出馬を断念した栗原氏に対する感謝の意を示したが、遅きに失した。

原田氏は最後まで支持層をまとめ切ることはできなかった。原田氏の得票は、5区内9市町村のうち福岡市南区以外は堤氏を下回っており、特に栗原氏の地元、朝倉市の得票率が42・8%と最も低かった。

原田氏は「公認決定まではいろいろあったが、決まってからの動きはスムーズだったのだが…」と言葉少なだった。陣営関係者からは「栗原氏が出馬するなどと言わなければ」との恨み節も聞こえた。

熊本2区では、建設相や党税制調査会長などを歴任し17選を狙った野田毅氏が、世代交代の波に飲み込まれた。43歳の若さを前面に押し出す保守系無所属の西野太亮氏に約5万票の大差で完敗した。

野田氏は、自民県連や推薦を受けた公明党、支持団体による組織戦を展開したが、古賀誠元幹事長や菅義偉前首相ら自民重鎮の側面支援を受ける西野氏に、支持層を切り崩された。

福岡9区で9期目に挑んだ三原朝彦氏も、無所属の緒方林太郎氏に1万5千票余りの差で議席を失った。

一方、「崖っぷち」で踏みとどまった古参も。長崎4区の元地方創生担当相、北村誠吾氏は、わずか391票差で立民の末次精一氏をかわし、辛くも8選を果たした。閣僚時代の不安定な国会答弁などが影響し、公示直前まで自民県議との分裂状態にあったが、支持層固めや公明との選挙協力を徹底し、議席を守った。