「官民挙げて国民の給料引き上げる」首相会見要旨

会見する自民党総裁・岸田文雄首相=1日午後、東京・永田町の自民党本部(矢島康弘撮影)
会見する自民党総裁・岸田文雄首相=1日午後、東京・永田町の自民党本部(矢島康弘撮影)

衆院選の結果を受け、岸田文雄首相(自民党総裁)が1日に行った記者会見の詳報は以下の通り。

■冒頭発言

衆院選は大変厳しい選挙だったが、引き続き、自民、公明両党政権の安定した政治のもとで、そして岸田政権のもとで、この国の未来を作り上げていってほしいという民意が示されたことを大変ありがたく、身が引き締まる思いで受け止めている。自民党に対しても、261議席という貴重な支援をいただいた。責任政党として国民の負託にこたえていく。

一方で、今回の総選挙でわが党に多くの厳しい声も寄せられたことは厳粛に受け止めなければならない。今後各選挙区の結果を分析し、これからの国政と次の選挙に生かしていく。

先ほど自公党首会談を行い、連立合意に署名した。引き続き丁寧できめ細かい政策調整を行い、安定感を持ちながらも果断な政策実行に取り組んでいく。自民総裁選から組閣、衆院解散・総選挙とスピード感をもって進めてきた。国民の信任を得た今、一票一票の重みを胸に、今後はこのスピード感を政策実行の面で発揮していく。

まず新型コロナウイルス対応だ。今月前半までに新型コロナ対応の全体像を示す。必要とする人が確実に入院できる体制を11月末までに整備する。全ての自宅宿泊療養者に対し、陽性判明当日か、遅くともその翌日には、医師などの専門家が連絡を取る即応体制を構築する。デジタルの力を活用し、感染拡大時における病床使用率を病院ごとに見える化する仕組みも作る。

ワクチン、検査、飲める治療薬。この一連の流れを抜本的に強化していく。3回目のワクチン接種を12月から開始し、無料検査の範囲を大幅に拡大する。早期治療の切り札である飲み薬について、年内の実用化を目指す。承認された薬は必要量を確保する。

これまでの新型コロナ対応を徹底的に検証し、感染症危機管理の抜本的強化、司令塔組織の創設にも取り組んでいく。

第2は経済対策だ。与党とも連携して、大型の経済対策を11月中旬に策定し、年内のできるだけ早期に補正予算を成立させる。経済対策には、非正規、子育て世代などで生活に困る人へのプッシュ型の給付金を盛り込む。事業主向けの給付金は、地域、業種を問わず、来年3月まで見通せるような形で、持続化給付金並みの措置を盛り込む。

雇用調整助成金の特例措置を来年3月まで延長する。経済再生に向け消費を喚起するため、安全安心な形に見直した上で(観光支援策)「Go To トラベル」の再開を検討する。

経済対策には、新しい資本主義を起動するための取り組みも盛り込む。令和版所得倍増を目指して成長を実現し、その果実を国民一人一人に、給与の引き上げという形で実感してもらう。新しい資本主義実現会議をはじめ、デジタル臨時行政調査会、デジタル田園都市国家構想実現会議の議論を本格化させる。

そのためにまず行うのは、科学技術、デジタル、地方、経済安全保障といった成長分野への大胆な投資だ。10兆円の大学ファンドを実現し、世界最高水準の研究大学を結成する。ワクチン、治療薬の研究開発、国内生産体制の強化を支援する。デジタル田園都市国家構想の具体化に向け、デジタルを活用した地域の自主的な取り組みを応援するための交付金を大規模に展開する。

中小企業が新型コロナの危機を乗り越え、新たな事業展開ができるよう積極的に支援し、金融面での環境整備も図る。経済安全保障については、重要技術育成やサプライチェーンの強靱化などを進める法案の準備を加速させる。

もう一つの重要な柱は、官民を挙げて国民一人一人の給料を引き上げていくための具体的なアクションプランだ。賃上げ税制の抜本的強化や補助金の要件として賃上げを求めることで、企業による賃上げを強力に促す。さらに、私自ら新しい資本主義実現会議の場で労使の代表と向き合い、賃上げに向けた議論を主導していく。看護、介護、保育などの現場で働く人々の収入を増やしていくため、来週にも公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格のあり方を抜本的に見直す。

さらに「こども庁」の創設や働き方に中立的な勤労者皆保険制度、人生100年時代の全世代型社会保障などの課題に取り組む。

外交・安全保障においては首脳外交を積極的に展開する。米国を始めとした同盟国、同志国には可能な限り早期に直接訪問する。

党是である憲法改正に向け、精力的に取り組む。与野党の枠を超え、発議に必要な国会での3分の2以上の賛成を得られるよう、議論を深めていく。国民の理解を得るための活動もしっかり行っていく。

これから政権を待ち受けているのは、政策実現のための戦いだ。成長のための改革に大胆に取り組むとともに、分配のための新たな仕組みを作り動かしていく。国民の皆さんの声を丁寧に聞きながら、新たな時代を切り拓いていく。ぜひご協力をお願いする。

--辞任表明した甘利明幹事長の後任は

甘利氏から、進退を私に預けるといわれている。本人とよく話し合ったうえで、できるだけ早いうちに対応を決定したい。

--躍進した日本維新の会との向き合い方は。公明党が公約に掲げた18歳までの一律10万円給付は受け入れるか

国会運営は自公連立が基本と言うのはこれからも変わらない。維新は同じ保守勢力ということも踏まえ、政策ごとに是々非々で議論していく。これまでと変わらない。

公明が選挙期間中、主張していた現金給付のあり方と、自民が主張していたあり方には重なる部分も重ならない部分もある。ただ、ともに現金を困った方々に支給する考え方は共通している。重なる部分を中心にできるだけ調整をした上で現金支給の範囲を確定し、経済対策としてまとめていきたい。