東北の激戦区、世代交代が加速 衆院選一夜明け

大接戦の末に宮城2区で当選を決め、花束を受け取る立民元職の鎌田さゆり氏(右)=1日午前3時55分ごろ、仙台市泉区(大柳聡庸撮影)
大接戦の末に宮城2区で当選を決め、花束を受け取る立民元職の鎌田さゆり氏(右)=1日午前3時55分ごろ、仙台市泉区(大柳聡庸撮影)

10月31日に投開票された衆院選で、東北6県の全23選挙区では1日、自民党16人、立憲民主党7人の当選が確定した。自民は前回に比べて2議席減らしたものの、青森、山形両県で議席を独占するなど堅調な結果に。一方、立民は宮城、福島など一部の選挙区で共産党との候補者一本化が奏功して議席を獲得したが、伸びを欠いた。接戦となった選挙区では自民、立民のベテランの前職がいずれも敗れるなど世代交代も加速。投開票から一夜明けた東北各地の表情を追った。

宮城

県内の6選挙区のうち自民が4議席、立民が2議席を確保した。2区で571票差の大接戦を制し、返り咲きを果たした立民元職の鎌田さゆり氏は1日、泉中央駅前(仙台市泉区)に立ち、有権者らに感謝の意を伝えた。

当選確実の一報が入ったのは1日午前3時半ごろと全国の選挙区で最後だった。無所属で出馬した前回は約1300票差で涙をのんだが、今回は野党共闘が奏功して雪辱を果たした。鎌田氏は報道陣の取材に「野党共闘というよりも、個人の戦いだった」と選挙戦を総括した。

一方、1区で5選を果たした自民前職の土井亨氏は、新型コロナウイルス対策をやりながら経済再建を訴えたことが有権者に理解されたなどと勝因を述べた。

青森

県内の3選挙区は、盤石な支持基盤と圧倒的な組織力を誇る自民が3議席を独占した。象徴的だったのが1区だった。

候補者を選挙区と比例代表で入れ替えるコスタリカ方式で、初めて1区に出馬した自民前職の江渡聡徳氏は当初、知名度不足が懸念されていたが、終わってみれば立民元職の升田世喜男氏に約2万6千票差をつけて勝利した。

8選から一夜明けた1日、江渡氏は青森市内で記者会見し、〝初陣〟となった1区での選挙戦を振り返り「いろんな人に支えられての戦い。まさに全員野球だった。自民党の組織力はありがたいと思った」と率直な心境を吐露した。

岩手

3選挙区のうち自民が2議席、立民が1議席を確保。その中でも3区の自民前職の藤原崇氏が、立民前職の小沢一郎氏の厚い壁を打ち破り、4度目の挑戦で初めて選挙区での勝利を手にした。

藤原氏は1日朝、奥州市中心部でつじ立ちを行った後、北上市の選挙事務所で報道陣の取材に応じた。藤原氏は「9年間、地元を歩いてきた。コツコツとやってきたことで、有権者と信頼関係をつなげることになった」と勝因を自己分析。党県連会長として、来夏に控える参院選の勝利に向け全力を挙げる考えを強調した。

一方、比例復活した小沢氏は「大変厳しい選挙になった」とした上で「引き続き全力で活動してまいりたい」との談話を発表した。

秋田

3選挙区全てで与野党一騎打ちとなり、2区で立民前職の緑川貴士氏が自民前職の金田勝年氏を破ったものの、自民が2議席を守った。

1区で自民前職の冨樫博之氏に敗れ、比例復活した立民前職の寺田学氏は共産との候補者一本化について「選挙区で共産票を上積みできた一方、無党派層に警戒感を生むなどマイナス面もあった」と、やや疲れた表情で振り返った。

寺田氏は「改革色を失い、分配や弱者保護、権利擁護に偏る今の立民ではだめだと示された」とした上で「私が訴える世代交代は、今回の選挙の責任も含め、まず立民から執行部を若い世代に交代しないといけない」と強調した。

山形

前々回、前回同様に3選挙区すべてで自民が議席を独占した。野党統一候補として選挙戦に臨んだ2区の国民民主党新人、加藤健一氏は、自民前職の鈴木憲和氏との一騎打ちで敗れた。加藤氏は「選挙までの時間が短い上に新型コロナで個人演説会が開くことができず、知名度を上げられなかった」と振り返った。

同党にとって、東北では加藤氏が唯一の選挙区での公認候補だったが、保守の地盤はやはり固かった。鈴木氏は「7万7千余の票を獲得することができて感謝している」としながらも「地方では、党の政策や考え方が浸透し切れていないことが大きかった」と指摘した。

福島

県内の5選挙区のうち自民が2議席、立民が3議席を確保した。大接戦の末、1区で3選を果たした立民前職の金子恵美氏は1日、福島市の選挙事務所で取材に応じ「急がれるのは新型コロナ対策。疲弊している地域経済を支える仕組みを作りたい」と話した。

事務所には「一番の応援団」と話す妹の美智さん(47)も同席。美智さんには生まれつき障害があり、金子氏が政治家を目指す原点になった。美智さんが選挙期間中「祈るような気持ちで(動画投稿サイトの)ユーチューブを見ていた」と話すと、金子氏が涙ぐむ一幕もあった。

党県連代表でもある金子氏は「自分の議席を守り、2区も比例復活できた」と安堵(あんど)しながらも「党全体としては非常に厳しい状況」と気を引き締めていた。