米、中国に対抗で「民主主義圏の旗手」演出 G20

バイデン米大統領(ロイター=共同)
バイデン米大統領(ロイター=共同)

【ローマ=塩原永久、 北京=三塚聖平】バイデン米大統領はローマで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を舞台に、米国の指導力を掲げた積極的な首脳外交を展開した。中国やロシアへの対抗を念頭に欧州との連携を強化。民主主義や法の支配を擁護する役割を担うとアピールした。これに対し、対面出席を控えた中国の習近平国家主席は、米国主導の対中包囲網の打破に腐心。新型コロナウイルスのワクチン支援などで国際貢献に注力する姿勢をみせた。

ブリンケン米国務長官は31日、ローマで中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相と会談し、台湾海峡をめぐる緊張を高める行為や新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権問題、香港などを念頭に「ルールに基づく国際秩序を損なう中国の行為」に懸念を伝えた。中国外務省の発表によると、王氏は台湾問題について、米中間で「最も敏感な問題」と主張。その上で「いったん処理を間違えば、中米関係に全体的な破壊を引き起こす」と強く警告した。

サミット会期中、米政権は権威主義的傾向を強める中国への対抗策で「欧州と強固な一致点を見いだせた」(高官)と手応えを感じている。バイデン氏とフランスのマクロン大統領との会談では、両国がルールに基づく国際秩序を支える姿勢を打ち出し、南シナ海で人工島造設を進めた中国を牽制(けんせい)した。

バイデン氏は以前、中国との21世紀の大国間競争に勝ち抜くと宣言。「民主主義圏の旗手」としての米国の立場を訴えてきた。中露も入るG20の枠組みを活用し、共通の価値観を持つ友好国との関係強化で一定の成果を挙げたといえる。

それに対し、習氏は31日にG20サミットでオンライン演説した。中国国営中央テレビ(電子版)によると、習氏は「先進国は、発展途上国のために資金支援をしなければならない」と呼び掛けた。

王氏は10月30日、ローマでロシアのラブロフ外相と会談した。中国側の発表によると双方は、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に対して「典型的な軍事グループ」と位置付けて重大な懸念を表明している。

習政権は、米国との関係改善をにらみ気候変動問題で協力姿勢を見せる一方、米欧による対中圧力や台湾接近には強く反発。対米国で共通の利害を持つロシアなどと連携し、対抗する構えを崩していない。