主張

東アジアサミット 米国の「復帰」を歓迎する

オンライン形式で開催された今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)主催の一連の首脳会合は、米国が本来あるべき姿で参加したことに意義がある。

バイデン米大統領は26日の米ASEAN首脳会議で「自由で開かれたインド太平洋を維持するため、われわれの協力関係は決定的に重要だ」と述べた。

27日の東アジアサミット(EAS)では、台湾に対する中国の最近の行動を「威圧的だ」と批判した。南シナ海の軍事拠点化など中国による野放図な海洋進出を念頭に、「ルールに基づく秩序への脅威」への懸念を表明した。

中国の覇権主義的行動は地域の平和と安定を乱す。周辺国が力をあわせ、抑止せねばならない。

バイデン氏の発言は決して目新しいものではない。だが、米国がASEANとの会合という多国間外交を通じ、対中抑止を主導しようとしている点が重要だ。

米ASEAN会議では、バイデン政権の東南アジア重視の姿勢が強調された。中国の李克強首相も参加したEASでは、米国は、中国を指弾するとともに、同盟、友邦諸国に対中抑止への参加を呼びかけた。

「自由で開かれたインド太平洋」を掲げるのは、日本も米国と同じである。

岸田文雄首相は日ASEAN、日中韓ASEAN、EASの3つの会合に参加し、東・南シナ海情勢をめぐる懸念表明など、バイデン氏に呼応する発言をしたのは当然である。

EASはASEAN加盟国と日米中韓豪印露、ニュージーランドの計18カ国で構成される。地域の不安定要因となっている中露両国も含め、インド太平洋を構成する国々だ。対面会合が可能となる将来も視野に、EASでの日米の連携を強化していきたい。

トランプ前米大統領はASEAN主催の首脳会合に一度も出席しなかった。大統領になって最初の2017年、開催地のマニラから途中で引き返したことが「アジア軽視」の印象を際立たせた。

憂慮すべきは「米国不在」の間に、中国が経済援助も駆使して東南アジア諸国への影響力を強めようと動いたことだ。それを許した責任は日本にもある。

対中抑止へ向けASEANといかに協力できるか。日米で意見をすり合わせる必要があろう。