HIS、過去最大530億円の赤字 3年10月期予想 旅行業界の苦境鮮明

「HIS」新宿本社営業所=東京都渋谷区(佐藤徳昭撮影)
「HIS」新宿本社営業所=東京都渋谷区(佐藤徳昭撮影)

旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)は30日、令和3年10月期連結決算の最終損益が530億円の赤字(前期は250億円の赤字)になるとの業績予想を発表した。赤字は2年連続で、赤字幅は過去最大となる。新型コロナウイルス禍の長期化で主力である海外ツアーの取り扱いが大幅に落ち込んだのが響いた。JTBなども3年3月期連結決算で軒並み赤字を計上しており、旅行業界の苦境が一段と鮮明になった。

HISは3年10月期の連結売上高を前期比約7割減の1250億円と見込む。未定としていた年間配当は無配にする。HISはこれまで、合理的な算定が困難だとして業績と配当の予想を公表していなかった。

HISはコロナ流行前で海外旅行関連が売上高の約8割を占めていた。運営する長崎県佐世保市のリゾート施設「ハウステンボス」やホテルも度重なる緊急事態宣言のあおりを受け苦戦を強いられた。

9月には手元資金を確保して財務基盤を安定化させるため、東京都港区のビルに入居する本社フロアを324億円で売却した。215億円の資本増強も行う計画で、創業者の沢田秀雄会長兼社長らを対象に第三者割当増資と新株予約権の発行を実施する。

旅行大手の3年3月期連結決算の最終赤字は、JTBが1051億円、近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT―CTホールディングスが284億円だった。いずれも赤字幅は過去最大で、KNTは一時債務超過に陥った。