FIGHT10 いきもの巡り

 国内初、シロワニの水槽内繁殖に成功 アクアワールド茨城県大洗水族館

バックヤードの水槽をすいすいと泳ぐシロワニの赤ちゃん(アクアワールド茨城県大洗水族館提供)
バックヤードの水槽をすいすいと泳ぐシロワニの赤ちゃん(アクアワールド茨城県大洗水族館提供)

アクアワールド茨城県大洗水族館では、国内最多となる60種類以上のサメを飼育しています。中でもシロワニは体が大きく、鋭い歯がむき出しで、その風貌は迫力満点です。シロワニは世界中の温かな海に棲(す)んでおり、国内では小笠原諸島でのみ確認されています。

繁殖サイクルが遅く、雌は最短でも2年に1回、多くても2匹しか幼魚を出産しません。平成29年には環境省によって海洋生物レッドリストで絶滅危惧種に指定され、個体数の減少が心配されています。

当館では同11年からシロワニの飼育を始め、当時1・5メートルほどだった体は、現在では約3メートルにまで成長しました。飼育を開始した当初から飼育員たちにはある目標がありました。それが「国内初となるシロワニの水槽内繁殖」です。

これまで交尾は行っても、妊娠までは確認されたことがありませんでしたが、飼育水槽の水温や照明時間を調整して、シロワニが繁殖しやすい環境をつくってきた結果、同27年12月にシロワニの胎仔(たいし)(動物の体内にいる赤ちゃん)が死んだ状態で水槽の底に沈んでいるのが確認されたのです。国内で初めてとなるシロワニの妊娠確認でした。

いよいよ繁殖成功に向けて期待が膨らみましたが、その後も交尾は行うものの、妊娠することはありませんでした。「あと一歩、何かが足りない…」、そう感じ始めていたころ、国内のシロワニ飼育施設が共同で行う、小笠原野生シロワニの現地調査に私が参加する機会がやってきました。