コロナ下の衆院選、陣営の手法も投票所も様変わり

大阪市立上町中学校の体育館で行われた投票所の設営作業。受付には職員お手製のパーティションが設置された=30日午後、大阪市中央区(恵守乾撮影)
大阪市立上町中学校の体育館で行われた投票所の設営作業。受付には職員お手製のパーティションが設置された=30日午後、大阪市中央区(恵守乾撮影)

衆院選の投開票を控えた30日、各候補者らは街頭などで有権者に支持を訴えた。新型コロナウイルス禍が続く中、票の積み上げに加えて陣営側に求められたのが、感染防止対策の徹底だ。この日、各地で設営作業が行われた投票所でも、細心の注意を払いながら準備が進められた。

「コロナになってから地域の行事などが中止になり、顔や考えを伝える機会が減って苦労した。手応えがつかみにくかった」

大阪府内の前職の陣営関係者は、コロナ禍での選挙戦の難しさをこう明かした。別の前職の陣営関係者も、「『相手の目を見て伝える』のが信条だったが、今回は近づくことすらできず、もどかしかった」と話す。対面での選挙運動を重視してきた陣営の多くは今回、新たな戦術の展開に苦心したようだ。

今回、与野党9党は党首の演説動画を党の公式サイトなどで配信した。コロナ禍により、こうした「オンライン演説」は、政治活動の一つの形として定着しつつある。別の前職の陣営関係者は「若者など、従来の支持層以外にも広く呼び掛けることもできたのではないか」と分析、「活動の広がりも感じた」と話した。

この日は、各地で投票所の設営が進められた。大阪市中央区の上町中学校では、午後から市職員約10人が作業。同区では昨年11月の大阪都構想の住民投票の際、投票所での感染防止対策として、段ボールやフィルムなどを使った職員お手製のパーティションを製作しており、今回は保管していたものを活用するという。

設置する消毒液の数も増やし、換気を徹底。利用者の手が触れる記載台や鉛筆はこまめに消毒し、一度に多くの人が訪れた場合は入場制限も予定している。同区総務課の難波勉課長は「コロナ感染を警戒して投票をしない、という方がないよう、万全に対策を行っている。安心して投票してほしい」と話した。

有権者「情報の発信増えた」とも

新型コロナウイルス禍で初の衆院選は、有権者にとってどうだったのか。候補者らが常にマスクを着け、「密」を避ける形で展開された選挙戦には、さまざまな声が聞かれた。

選挙戦最終日の30日午後。大阪市内のターミナルなどで行われた街頭演説には、多くの人の姿が見られた。支持政党の演説を聞いていた大阪市浪速区の無職の男性(71)は、「今回の選挙中は、候補者と握手もできなかった。マスクで表情も分かりにくい。なんかさみしいね」と話した。

有権者と肘タッチを交わす候補者(左)=大阪市内
有権者と肘タッチを交わす候補者(左)=大阪市内

「生の声を聞いてから投票先を決めたかった」と話すのは同市中央区の主婦(40)。「正直、密になるのはまだ怖いけど」と複雑な思いを抱えつつ、足を運んだという。

一方、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で演説日時を知ったという大阪府河内長野市の男性会社員(33)は、「選挙の情報はほとんどネットから得ている。コロナ以前と比べて発信も多くなった」と話していた。