警戒監視態勢を強化するため新たに導入する哨戒艦について、防衛省が無人での運用を検討していることが30日、分かった。まずは乗員30人程度で運用することから始め、将来的な無人化を視野に入れる。水上艦艇数で中国海軍に劣勢の海上自衛隊は艦艇の増強を図りたい一方、深刻ななり手不足に直面している。装備の省人化・無人化を推し進めることで2つの課題に対応する考えだ。
同省は令和4年度予算の概算要求で哨戒艦の基本設計費として4億円を計上。10月29日から基本設計に加え、1番艦を含む4隻の建造を担う業者を決めるための公募を開始した。哨戒艦の船体規模は基準排水量1900トン、全長90メートル程度と想定している。
哨戒艦導入の背景には、海軍力の増強を急速に進める中国に対し、海自が艦艇数で劣勢に立たされている現状がある。今年3月末時点で海上自衛隊が有する護衛艦は47隻だったのに対し、中国海軍の近代的駆逐艦・フリゲート艦は71隻と、中国側が約1・5倍上回っている。