COP26、英で31日開幕 協調姿勢の日本、石炭火力に逆風の恐れ

岸田首相
岸田首相

国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が31日、英北部グラスゴーで開幕する。約200国・地域が参加し、11月12日まで温室効果ガスの削減目標などを話し合う。岸田文雄首相が出席する日本は排出削減目標を引き上げ、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」の目標達成に向けた機運醸成に貢献する構えだ。ただ、議長国の英国はCOP26の成果を上乗せしようと、石炭火力発電からの脱却などを各国に強く迫っており、日本の国内対策に厳しい目が向けられる可能性もありそうだ。

(日野稚子)

温室効果ガス削減の自主削減目標(NDC)について、日本は2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)と、途中経過にあたる30年度にこれまでの13年度比26%削減から46%削減という野心的な目標を提出した。達成に向けてはエネルギー基本計画と地球温暖化対策計画も見直した。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の脱炭素化への協力や国際海運分野での排出削減目標の引き上げを提案するなど、国際社会での気候変動対策に真剣に向き合う姿勢を示した。

だが、これが日本の評価につながるかどうかは不透明だ。COP26での成果を国内外に示したい議長国を務める英国のジョンソン首相は、石炭火力や自動車などの4項目を挙げて、各国に具体策への意思表示を求めている。中でも、石炭火力発電に関しては、先進国は30年までに、途上国も40年までに全廃するよう強く働き掛けている。

本来、石炭火力削減はCOPの議題ではないが、火力発電の中で排出量が多い石炭火力を減らすことが、結果として各国のNDCの上乗せにつながる。パリ協定が目指す「世界の気温上昇を可能であれば1・5度に抑える」目標の達成に資することになる。

日本は石炭火力の総発電量に占める割合を足元の32%から30年度に19%へ下げる計画を示しているが、目標を達成しても先進国の中で石炭火力の依存度が高く、国内対策の弱さを指摘される恐れがある。

条約事務局の分析では、各国が提出したNDCを積み上げても30年の排出量は10年比で16%増え、パリ協定が目指す水準に届かないことが判明。石炭火力の議論の行方次第では、日本に厳しい北風が吹き込む可能性もありそうだ。

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