産油国が相次ぎ温室ガス削減目標 サウジなど「実質ゼロ」

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(ゲッティ=共同)
サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(ゲッティ=共同)

【カイロ=佐藤貴生】英国で31日に開幕する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、サウジアラビアなどペルシャ湾岸の産油国が相次いで温室効果ガスの排出量削減目標を表明した。「脱炭素」の国際的な潮流を受け、産油国としても協力姿勢を示す狙いとみられる。

サウジの実力者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は23日、首都リヤドで開かれた環境に関する国際会議で、温室効果ガス排出量を2060年までに「実質ゼロ」にする目標を掲げ、実現に向けて総額1800億ドル(約21兆円)を投資すると表明した。

英BBC放送(電子版)によると、サウジの数値目標は国内での排出が対象で、輸出した原油を海外で燃やす際に発生する温室効果ガスを含まない。皇太子は同時に「原油市場の安定強化に向けた主導的立場を維持する」と述べ、原油生産を継続する方針を表明した。

人口約3500万人のサウジは年2%台のペースで人口増が見込まれる。若年層の失業率は18年推計で3割近くに達しており、雇用の拡大が急務だ。国庫収入の6割超は原油輸出が占めるとされ、産業多角化には時間を要する。原油の市場動向の急激な変化は避けたいのが本音だ。

サウジは10月、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定中の報告書をめぐり、化石燃料からの急速な脱却の必要性に触れた文言の修正を求めたとも報じられた。BBCは、サウジの排出削減計画が透明性に欠け、実効性について「多くの人が冷ややかに見ている」とする専門家の意見も紹介した。

サウジのほか、湾岸ではアラブ首長国連邦(UAE)が10月上旬、50年までの実質ゼロを表明。同月下旬にはバーレーンが60年までの実質ゼロを、カタールも30年までの25%削減をそれぞれ打ち出した。

世界銀行によると、これらの4カ国は1人当たりの二酸化炭素(CO2)排出量で上位にある。脱炭素化の動きが強まる中で、産油国には一段の対策を求める声も高まっている。

環境をめぐる各国の政策や目標を比較・分析する非営利組織「クライメート・アクション・トラッカー」は9月時点で、サウジの対策を最低ランクの「決定的に不十分」に分類。原発を稼働させるなどエネルギー供給源の多角化を進めるUAEについても、下から2番目の「非常に不十分」に分類した。