プレビュー

「モーリタニアン 黒塗りの記録」ほか3本

映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」の一場面 ©2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.
映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」の一場面 ©2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.

公開中の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「プレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。


「モーリタニアン 黒塗りの記録」

原作は、2001年9月11日に発生した米中枢同時テロの首謀者の一人として拘束され、キューバのグアンタナモ米軍基地に収容されていたアフリカのモーリタニア出身、モハメドゥ・スラヒの手記。

05年、人権派弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)はモハメドゥ(タハール・ラヒム)の弁護を無償で引き受ける。再三の開示請求でようやく政府から届いた機密書類には驚愕(きょうがく)の供述が記されていた…。

本作はグアンタナモで司法手続きなしに厳しい尋問や拷問が行われ、裁判も開かれることなく長期の拘束を強いられている実態を暴いた問題作。英国俳優のベネディクト・カンバーバッチは当初、本作のプロデューサーに専念するはずが、脚本に感銘。米政府からモハメドゥを死刑判決に処せとの命を受ける米軍のカウチ中佐役で出演している。

ジョディ・フォスターは、本作でゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞。監督は、ドキュメンタリーに定評があるケヴィン・マクドナルド。英製作。

29日から東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開。2時間9分。(啓)

映画「スウィート・シング」の一場面 ©2019 BLACK HORSE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED.
映画「スウィート・シング」の一場面 ©2019 BLACK HORSE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED.

「スウィート・シング」

15歳の少女と11歳の弟。一緒に暮らす父親は子供たちにはやさしいが酒癖が悪く、ついに強制入院措置に。他に身寄りのない姉弟は家を出ていった母親の元に身を寄せる。姉弟はある出来事がきっかけで、近所の少年と3人で逃走する。

16ミリフィルムによるモノクロ&パートカラー映像が醸し出す空気感がいい。周りのひどい大人たちをよそに、子供たちが自分で自分の道を切り開こうとする姿に希望を感じた。ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門で最優秀作品賞を受賞。監督はアレクサンダー・ロックウェル。姉弟役は監督の実子。米映画。

29日から東京・新宿シネマカリテ、大阪・テアトル梅田などで全国順次公開。1時間31分。(啓)

 映画「そして、バトンは渡された」の一場面 ©2021映画「そして、バトンは渡された」製作委員会
映画「そして、バトンは渡された」の一場面 ©2021映画「そして、バトンは渡された」製作委員会

「そして、バトンは渡された」

梨花(石原さとみ)とみぃたん(稲垣来泉=くるみ)。森宮さん(田中圭)と優子(永野芽郁=めい)。血のつながりがない2組の親子の日常を、目まぐるしく交互に描きながら、ある感動的な着地点を目指して突き進む。

宣伝文句は「92・8%が泣いた」。確かに、娘をもつ父親は涙なしでは見れないかもしれない。

独特のテンポと構成だが、途中で監督の〝手札〟がばれてしまう恐れもある。それでも構わないのか。案外、直球勝負の感動作なのかもしれない。監督は「老後の資金がありません!」などの前田哲。瀬尾まいこの本屋大賞受賞作が原作。

29日から東京・新宿バルト9、大阪・梅田ブルク7などで全国公開。2時間17分。(健)

映画「ビルド・ア・ガール」の一場面 ©Monumental Pictures, Tango Productions, LLC, Channel Four Television Corporation, 2019
映画「ビルド・ア・ガール」の一場面 ©Monumental Pictures, Tango Productions, LLC, Channel Four Television Corporation, 2019

「ビルド・ア・ガール」

「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001年)のスタッフが、すてきな青春映画を作った。英コメディー映画特有の過激な笑いもまぶされているが、切なくて泣けそうなほどの優しさが、この映画の本質だ。

さえない16歳のジョアンナ(ビーニー・フェルドスタイン)は、文才を生かして人気音楽ライターになるが、次第に自分を見失う。英コラムニストの自伝的小説が原作。

15歳以上が対象の作品だが、未来に不安を抱く若い人に見てほしい。洋楽ロック好きの中高年にも。ロックに関するギャグが頻繁に出てくる。10代に代わって大笑いしてほしい。

東京・新宿武蔵野館、大阪・シネ・リーブル梅田などで全国公開中。1時間45分。(健)