バイデン氏、欧州歴訪を開始 温暖化で世界主導へ

29日、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)出席のため、ローマの国際空港に到着したバイデン米大統領とジル夫人(AP)
29日、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)出席のため、ローマの国際空港に到着したバイデン米大統領とジル夫人(AP)

【ローマ=塩原永久】バイデン米大統領は29日、欧州歴訪の最初の訪問地であるローマに到着した。当地で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)など、一連の国際会議で世界の温暖化対策を主導しつつ、中国との大国間競争で友好国の協力を引き出したい考えだ。ただ、欧州諸国の間ではアフガニスタン駐留米軍を強引に撤収させた米国への不信感が一掃されていないとの見方も根強く、バイデン政権が掲げる多国間主義の推進は課題をはらんでいる。

「中国や主要国と争う21世紀の競争を勝ち抜く」

バイデン氏は28日、欧州に出発前の演説でこう述べた。直前に提案した大型歳出法案の成立が、覇権主義的な動きを強める中国への対応や温暖化対策といった優先課題に取り組む上で不可欠だと訴えた。

バイデン氏はローマで30、31日に開かれるG20サミットや、英グラスゴーで11月1~2日に予定される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳日程に参加。温暖化対策の機運を盛り上げる一方、中国が途上国への不透明な開発融資で攻勢を強めている問題などで討議をリードする考えだ。

世界最大の温室効果ガス排出国である中国の習近平国家主席や、欧米へのサイバー攻撃問題などで摩擦を抱えるロシアのプーチン大統領は、G20サミットやCOP26の対面日程への参加が予定されていない。

一部の大国首脳が不在の中、バイデン氏が掲げる多国間主義が、国際合意を土台とする有効な対策に結び付くかは見通せない。

また、アフガン駐留米軍の撤収に伴う混乱は、北大西洋条約機構(NATO)の欧州加盟国の間で米政権への不信を招いた。米政権が決めたオーストラリアへの原子力潜水艦技術の供与をめぐっては、豪州との共同開発計画を進めていたフランスの怒りを買った。

バイデン氏は6月に欧州を訪れた際、「米国が国際協調の舞台に帰ってきた」と歓迎された。2回目の今回は、欧州諸国の受け止めが「前回と大きく異なる旅になる」(米戦略国際問題研究所のコンリー氏)との指摘も出ている。