バスや車で過疎地へ 活用広がる移動式期日前投票所

衆院選で移動式の期日前投票所として活用されている鹿児島県南九州市の小型バス(同市提供)
衆院選で移動式の期日前投票所として活用されている鹿児島県南九州市の小型バス(同市提供)

終盤戦となり激しい論戦が繰り広げられている衆院選。投開票が31日に迫り、各地で期日前投票が行われる中、高齢化や過疎化が進み投票所が統廃合された地域では、投票箱を積んだ車が有権者のもとに出向く移動式の期日前投票所の利用が広がっている。

移動式の期日前投票所は、投票箱や記載台を載せた自治体のワゴン車やバスが山間部などを回り、有権者が乗り込んで投票する仕組み。総務省によると、平成28年の参院選で島根県浜田市が初めて導入。投票所までの「足」に苦労する高齢者らの投票機会を確保する手段として活用が進み、令和元年7月の参院選では全国33市町に広がった。今回の衆院選でも導入する自治体が多いという。

奈良県五條市が開設した「移動期日前投票所」のワゴン車(同市提供)
奈良県五條市が開設した「移動期日前投票所」のワゴン車(同市提供)

平成17年の合併以降、人口が減り続けている奈良県五條市では、過疎エリアを対象に令和元年の参院選の際に導入。今回の衆院選でも過疎・高齢化が深刻な同市の大塔(おおとう)町と西吉野町に開設した。

2町ではこれまでに計6カ所の投票所がなくなり、現在は計12カ所のみ。このため市は今月21、22日、かつて投票所が設置されていた場所を中心に計10カ所を記載台や投票箱を載せたワゴン車で巡回。2日間で約40人が投票を済ませた。有権者からは「ありがたい」といった声が聞かれたという。

五條市の担当者は「交通の便が少ない高齢者らにとって支えとなる取り組み」とし、「交通手段が乏しく、車がなければ移動しにくい地域に住む人が、投票をあきらめないようにしたい」と話す。

令和元年7月の参院選で、鹿児島県南九州市が開設した移動式の期日前投票所 (同市提供)
令和元年7月の参院選で、鹿児島県南九州市が開設した移動式の期日前投票所 (同市提供)

一方、今回の衆院選で4回目の導入となる鹿児島県南九州市では25~29日、市内の業者から借りた小型バス2台で山間部を中心に約30カ所を巡回。25日には約270人が利用したという。

市では約50カ所あった投票所を統廃合し、令和元年の参院選の際に計24カ所となった。同年12月の市議選でも同様に小型バスを走らせ、千人以上が利用したという。担当者は「投票所が廃止された地域を中心に巡回しており、『助かる』と言われる。一人でも多く投票してもらうために活用していきたい」としている。(前原彩希、田中一毅)