ベッドタウンの千葉県柏市や印西市、農業が盛んな富里市まで県北部の東西に広がる衆院千葉13区。立憲民主党前職で選挙区初勝利での2期目をねらう宮川伸氏と、自民党新人で医師の松本尚氏の大接戦を、地元の鎌ケ谷市長を5期務めた日本維新の会新人の清水聖士氏が追いかける、三つどもえの激戦が、選挙戦最後の30日まで繰り広げられる。
「科学をベースとした新型コロナウイルス対策を、しっかりと進めます」。29日朝、鎌ケ谷市の新鎌ケ谷駅前には支援者らと政策ビラを配りながら、そう訴える宮川氏の姿があった。
生命科学の研究者を経て創薬のベンチャー企業を立ち上げた宮川氏。公示後は連日、各地の駅頭や商業施設前などで訴えを繰り返してきた。27日には立民の枝野幸男代表の応援を得た。「コロナ対策に不満を持っている方は結構多い。だんだんと盛り上がってきたと思う」と、取材に終盤戦の手応えを語った。
松本氏には29日、本県入りした岸田文雄首相が応援に駆け付けた。首相は終盤戦、野党と激しく競り合う全国の選挙区に入っている。13区も自民と立民が接戦を展開している。
松本氏は印西市の日本医科大の千葉北総病院を拠点に、医師が搭乗する「ドクターヘリ」の普及に貢献してきた。危機に強い医療体制づくりといった「医療の安全保障」を訴えている。コロナ対策の即戦力として期待され、24日には松野博一官房長官が「日本有数の権威だ」とたたえた。
清水氏は市長として行財政改革に取り組んだ実績を訴えてきた。そして、維新が掲げる「身を切る改革」への理解を求めている。
公示前の17日に維新の副代表を務める大阪府の吉村洋文知事が、26日には幹事長の馬場伸幸氏が相次いで選挙区に入った。馬場氏は応援演説後、「日ごとに維新の主張が広がっていると感じている」と強調した。鎌ケ谷市以外の知名度が課題とされた清水氏だが、「鎌ケ谷から遠くても手を振ってくれる」と手応えを見せた。(小野晋史)