COP26、削減目標にミゾ 中露や途上国の連携が鍵

英国のジョンソン首相(AP)
英国のジョンソン首相(AP)

【ロンドン=板東和正】英北部グラスゴーで31日に開幕する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、二酸化炭素など温室効果ガスの削減目標をめぐる主要国間の溝が浮き彫りになっている。中国やロシア、途上国が踏み込んだ削減目標を示すかが焦点となっており、途上国支援を含む国際的な連携が問われている。

「(COP26は)予断を許さない状況。必要な合意が得られないかもしれず、とても心配だ」

COP26の議長国、英国のジョンソン首相は25日の記者会見で、こう打ち明けた。開催直前に「弱気な発言」(英メディア)が出たのは、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」の目標をめぐり各国の足並みがそろっていないためだとみられる。

パリ協定は産業革命前と比べた世界の気温上昇をできれば1・5度以内に抑えることを目指しており、その実現には世界全体で温室効果ガス排出量を2050年に実質ゼロにする必要があるとされる。

しかし、英国や日米など多くの国が「50年まで」に実質ゼロにする目標を打ち出す一方、世界最大の温室効果ガス排出国である中国や、ロシアなどは「60年まで」とする目標を掲げる。

英国はCOP26で排出量の目標を前倒しするよう中露に呼びかける方針だ。ジョンソン氏はすでに9月の国連総会で中国に対し、温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電所を段階的に廃止するよう要請。今月25日のプーチン露大統領との電話会談でも目標を「50年まで」とするよう求めた。

ただ、石炭火力を主要電源とする中国は今月から石炭の増産を進めており、脱石炭を進める欧州などと削減目標をそろえるのは困難だ。化石燃料資源が豊富なロシアも気候変動の取り組みが遅れている。中国の習近平国家主席がCOP26に出席するかは未定。プーチン氏も欠席する方針で「中露の気候変動対策の貢献意識は低い」(環境問題の英専門家)とされる。

途上国が資金不足から踏み込んだ削減計画を示せないという問題もある。パリ協定の下、先進国が途上国などの気候変動対策に年間1千億ドル(約11兆4千億円)を支出するとの20年までの目標が設定されたが、達成されていない。

ロイター通信などによると、インドは実質ゼロの目標で先進国に並ぶことを拒み、「(先進国と同様の)気候変動対策を行うためには(目標の)年間1千億ドルを上回る支援が必要」(政府幹部)と訴えている。だが、エネルギー価格の上昇などによる景気低迷を懸念する先進国の多くは、目標額の早期達成や現在の額を上回る新たな目標設定に消極的になる可能性がある。