経済インサイド

中韓勢に先行へ オールジャパンでアンモニア燃料船開発

お家芸復活へ

これまで船舶燃料には重油が使われてきたが、近年はCO2排出量が少ないLNG(液化天然ガス)に置き換わりつつある。ただ、LNGではカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)が達成できないことから、いずれは水素やアンモニアに置き換わるとみられている。

このため日本郵船は今年9月に船舶技術コンサルタントのエロマティック(フィンランド)と組み、アンモニア燃焼船への転換が可能なLNG燃料船の設計開発にも着手している。

アンモニアは燃焼速度が遅いほか、船体が腐食しやすく排ガス中の窒素酸化物(NOx)への対策も必要だが、すでに輸送や貯蔵の技術が確立されているのが魅力だ。また、水素が液化して運ぶのにセ氏マイナス253度まで冷やす必要があるのに対し、マイナス33度で液化できるなど、同じ次世代燃料の中でも優位点が少なくない。

NSYの梅山信孝商品企画部長兼アンモニア燃料船開発部長は「運航するパターンや距離に応じて燃料を使い分けることになる」と予測する一方、「外航の大型船ではアンモニアが現状では一番適切」との見方を示す。

脱炭素をめぐっては、日本船主協会が船舶輸送における温室効果ガス排出を50年までに実質ゼロにする目標を10月26日に発表したばかり。達成にはアンモニア燃料船や水素燃料船の開発が欠かせない。

日本の造船業はかつてお家芸と呼ばれ、他国を寄せ付けないほどの強さを誇った。だが2000年代に入ると建造コストが安い中国や韓国に抜かれ、なかなか受注を獲得できない苦しい状況が続く。

アンモニア燃料船の開発は、ニッポン造船業の巻き返しという重い命題も背負っている。

(経済部 井田通人)