失速の虎㊤

佐藤輝の復活ならず 後半戦は中軸が迫力不足に

10月18日の広島戦で三振に倒れる阪神の佐藤輝。後半戦は不振から抜け出せなかった=甲子園球場(甘利慈撮影)
10月18日の広島戦で三振に倒れる阪神の佐藤輝。後半戦は不振から抜け出せなかった=甲子園球場(甘利慈撮影)

プロ野球阪神は矢野監督が指揮を執って3年目のシーズンを終えた。序盤から首位を走りながら、後半戦に失速し、16年ぶりのリーグ優勝を逃した。失速の原因と課題を探る。

【失速の虎㊦】オリックスとの差は…

ペナントレースが佳境に入った9月23日、2軍落ちしていた阪神のルーキー佐藤輝が1軍に再昇格した。矢野監督は「ファームに行って、いろんな気持ちの変化があったと思う。また佐藤輝らしくやってくれたら」と期待を寄せたが、前半戦のような輝きは取り戻せなかった。10月24日の広島戦(マツダ)で約2カ月ぶりの24号3ラン。もっと早く復調できていれば、チームの成績も変わっていただろう。

1軍復帰後、先発かベンチか中途半端な起用が続いたのも、復調できなかった要因だ。井上ヘッドコーチは「打撃コーチが『だいぶ良くなりつつありますよ』と進言してくるから、信じて『じゃあ(先発で)行くか』となるけど、この世界は結果だからね」ともどかしい心情をあらわにした。選手が本来の打撃を見失ったときに適切なアドバイスができる指導者の不在も浮き彫りとなった。

チームが快調に白星を重ねた前半戦は、佐藤輝の存在が打線に迫力をもたらした。開幕からハイペースで本塁打を量産。8月19日のDeNA戦(東京ドーム)で23号を放って田淵幸一の球団新人最多記録を更新したが、8月下旬以降、極度の不振に陥り、9月10日に初めて2軍降格。平田2軍監督は「いろいろ考えすぎたと思う。1回フラットにしてやっていこうということ」と説明したが、22日に2軍戦で初アーチを放った翌日には1軍に招集。ファームでじっくりと再調整する時間もなかった。

今季の本塁打数は佐藤輝が24本で、マルテ22本、大山21本、サンズ20本。日本一に輝いた1985年以来36年ぶりに20本塁打以上の打者が4人生まれたが、本来は不動の4番であるべき大山もシーズンを通した活躍ができなかった。10月28日現在で39本塁打のヤクルト村上とは対照的に、「主砲」と呼べる真の中心打者を欠いた。

今季最終戦となった10月26日の中日戦で、九回に内野ゴロに倒れた阪神の大山=甲子園球場(水島啓輔撮影)
今季最終戦となった10月26日の中日戦で、九回に内野ゴロに倒れた阪神の大山=甲子園球場(水島啓輔撮影)

シーズン終盤は5番に糸原が座り、佐藤輝がベンチで戦況を見つめる試合も多かった。勝負どころで迎えた9月28日からの広島戦(甲子園)で同一カード3連敗。矢野監督は「いいところでポーンとホームランが出てくれれば楽になるんだけど」と漏らした。

チーム内で規定打席到達者が8人を数え、近年のプロ野球では異例の多さとなった。レギュラーメンバーを固定しながら戦った証しだが、主力が調子を落としたときに、その穴をどう埋めていくのか。世代交代を進めるチームは大きな課題を突きつけられた。(上阪正人)