台湾有情

気をもむ信者たち

「私たちはこれからどうなるのか、心配で毎日ニュースをチェックしている」

台北市北部のカトリック教会に熱心に通う大学教師は暗い表情でこのように話した。

中国が最近、ローマ教皇庁(バチカン市国)に対し外交関係樹立の前提条件として「台湾との断交」を提示したことが大きく伝えられ、台湾のカトリック関係者の気をもませている。

バチカンは欧州で台湾が唯一外交関係を持つ国だが、14億人の人口をもつ中国で信者を増やしたいなどの思いがあり、数年前から中国と接近している。2018年には、中国と長年対立してきた司教任命権問題で暫定合意した。最近になって北京に在外公館を設置する可能性も取り沙汰されるようになった。

一方、台湾には約24万人のカトリック信者がいる。人口の約1%にすぎないが、教会は多くの病院、大学などを運営しており、教育、医療分野で大きな存在感がある。前副総統の陳建仁氏も熱心なカトリック信者として知られる。

「バチカンが中国の影響を受ければ、これまでと同じような自由な宗教活動ができるのだろうか」と懸念する信者もいる。台湾の外交関係者は「外国と断交をした前例のないバチカンは、中国の条件はのまないはず」と話しているが…。(矢板明夫)