私はこう見る衆院選

米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部副部長 ニコラス・セーチェーニ氏

戦略国際問題研究所(CSIS)日本部副部長のニコラス・セーチェーニ氏(本人提供)
戦略国際問題研究所(CSIS)日本部副部長のニコラス・セーチェーニ氏(本人提供)

米国では衆院選を受け、安倍晋三、菅義偉両政権からの外交政策上の「継続性」が担保されることへの大きな期待がある。中国の急速な強大化や、北朝鮮による軍事的脅威などでアジアの戦略環境がますます複雑化している中、日本のリーダーシップは決定的に重要な意味を持つからだ。

思い返すと、2012年末に第2次安倍政権が発足する以前、ワシントンでは日本政治に対するシニシズム(冷笑主義)があった。次々と短期政権が続く不安定な状態に陥っていたことや、旧民主党による実験的な政権運営の失敗などからくるものだ。国際社会で主導的な役割を担う能力に欠けるのではないかという疑念もあった。

だが、それを見抜いていた安倍氏が、自信をもって「日本は帰ってきた」とのメッセージを明確にし、戦略的な道筋を示したことで米国側の認識は劇的に変わり、日本は尊重されるようになった。日本が構築した「自由で開かれたインド太平洋」構想は、米国やいくつかの国々の思考を形成しており、それは日米豪印4カ国による枠組み「クアッド」の首脳会合などの具体的な形につながった。

日本政治が仮に今後、再び短期政権サイクルに入ることがあったとしても、また誰が首相になっても、安倍政権下で作られた戦略的な枠組みから大きく踏み出すとは考えにくい。なぜなら、日本の置かれている状況に対応する上でそれが最も論理的な答えだからだ。そして、そう想定できることが米国にとっての安心材料となってもいる。

こうした国際社会からの「信頼」は、新型コロナウイルス対策や経済といった諸政策とともに、現在の日本政治を考える上での重要なファクターだといえるだろう。(聞き手・ワシントン 大内清)