オーケーの安売り路線、関西で受け入れられず

関西スーパーマーケットの経営権をめぐる争奪戦は、可決に必要な賛成割合をわずか0・01%上回る僅差で決着した。オーケーはエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリンググループが示す事業計画を疑問視して質問状を送付するなど、株主の心理を揺さぶったが、最終的にオーケーの「エブリデーロープライス(毎日安売り)」は受け入れられなかった。ただ、肝心の消費者を置き去りに議論が進んだ反省も残った。

「こんな僅差は覚えがない。株数でいえば4千~5千株差とみられ、1、2人の個人投資家の投票が違えば結果はひっくり返っていた」。岩井コスモ証券の有沢正一・投資調査部長は驚きを口にした。

両陣営の争奪戦は当初、取引先企業の株主が多いH2Oが、オーケーが示した1株2250円のTOB(株式公開買い付け)価格に対し統合でそれを上回るとした理論株価を公表するなど優勢とみられた。

しかし、関西スーパーの第4位株主の伊藤忠食品が算定根拠を求めて質問書を送付したほか、賛成とみられた関西スーパーの取引先持ち株会も自主判断での議決権行使を決定。オーケーが激しく追い上げていた。

帝国データバンク大阪支社の昌木裕司・情報部長は「統合案は抽象的で分かりづらく、理論株価にも不透明感があった。オーケー案はTOB価格があり、株主のメリットが分かりやすかった」と評価する。

それでも統合案が受け入れられたのはなぜか。岩井コスモ証券の有沢氏は「関西スーパーの経営陣や従業員は首都圏地盤のオーケーになじみがなく、安売り路線にも抵抗感が強かった。投資家も、関西では知らない人がいないH2Oのブランドに流れたということだ」と分析した。

オーケーはTOBの撤回を表明したが、関西進出の意向は持ち続けるという。関東を中心に展開する安売り路線のスーパー、ロピアが進出を果たすなど「安売りスーパーの〝空白地帯〟」(アナリスト)とされる関西が今後草刈り場になる可能性もある。

一方、一連の騒動について臨時株主総会に出席した男性株主は「統合案は経営陣の自己保身だ」と批判。経営権や株主の利益が焦点となり、消費者が置き去りにされた。関西スーパーの福谷耕治社長は「株主だけでなく、お客さまの信頼を裏切らないよう精進していく」と語った。(井上浩平)