枝野氏の回避策とは裏腹に…目立つ立共の相互支援

立憲民主党の候補者のはがき(一部画像を処理しています)
立憲民主党の候補者のはがき(一部画像を処理しています)

立憲民主党の枝野幸男代表は衆院選(31日投開票)で、共産党との選挙協力は候補者一本化にとどめると強調し、街頭演説などでの共演を避けている。ところが立民の候補者レベルでは共産と一緒に演説をしたり、「比例は共産党へ」と呼びかけたりするなど共闘する場面が少なくない。共産側も共闘を積極的にアピールしているが、立民執行部はこうした動きを抑えられていない。

衆院北海道4区では共産が候補者を取り下げ、立民新人を野党統一候補とした。29日に応援した枝野氏は、街頭演説では共産に言及しなかった。

枝野氏は、共産と対立する立民の支持団体「連合」や無党派層を意識しているとみられる。23日に市民団体が東京・新宿で開いた街頭集会では、最後に登壇した枝野氏が演説後、30分前に演説を終えてステージ脇で待機していた共産の志位和夫委員長を一顧だにせず、写真撮影会にも応じずに足早に立ち去った。

だが、多くの選挙区では両党の共闘が連日展開されている。

香川1区の立民前職は22日、共産の小池晃書記局長らが高松市内で行っていた街頭演説会に自転車で駆け付け、その場の共産の比例代表候補の名前を挙げて「国会で一緒に仕事ができたらいいなと心から願っている」と述べた。小池氏は引き換えに、香川1区では立民前職に投票するよう呼びかけた。

23日には東京14区の立民元職が共産の街頭演説会に参加。共産幹部が比例代表は共産に投票するよう訴えると、立民元職は拍手で応じた。東京都内の複数の選挙区では、立民候補が有権者向けに「比例代表は共産党へ」と記した選挙用はがきを作成した。

立民が共産の選挙区候補を応援するケースもある。

有田芳生参院議員は29日、京都1区に立候補した共産幹部の前職とともに選挙区内を遊説し「(共産前職を)選挙区で必ず当選させてください」と訴えた。

共産党機関紙「しんぶん赤旗」によれば、京都1区の共産前職は立民の安住淳国対委員長と小沢一郎前衆院議員から「政権交代の志をともにする同志であり盟友中の盟友」(小沢氏)などの「熱烈な応援メッセージ」を送られているという。

21日には立民の塩村文夏参院議員が東京4区、石川大我参院議員が東京20区の共産候補の街頭演説会でマイクを握り、「全力で立民は応援したい」(石川氏)とエールを送った。

共産は立民の応援を党勢拡大につなげたい考えだ。志位氏は29日、千葉県柏市での街頭演説で「本気の共闘で野党が力を合わせて戦っている」と強調した。(田中一世)

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