衆院選・兵庫の課題

コロナで観光打撃 マイクロツーリズムに期待

6821億円。

昨年度に兵庫県内を訪れた観光客が、飲食や宿泊などに使った観光消費額(速報値)だ。近年は1兆円を超えて推移していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、前年度(1兆2493億円)比45・4%減となった。観光業界の回復が急がれるのは全国共通の課題だが、訪日外国人客(インバウンド)への依存度が低かったとされる兵庫は比較的早い回復も期待される。県は近距離旅行「マイクロツーリズム」に活路を見いだすが、長期的にはインバウンド誘致に向けた魅力づくりも欠かせない。

県によると、昨年度に県内を訪れた観光客は前年度比42・6%減の7832万人(速報値)で、過去10年で最少。観光による経済波及効果は1兆25億円で、前年度の1兆8391億円から45・5%減少した。

さらに、観光庁によると、昨年の県内の延べ宿泊者数は前年比37・7%減少。一方、大阪と京都はそれぞれ58・4%と54・8%減っている。コロナ禍で県内の観光産業は甚大な打撃を被ったものの、減少幅は比較的小さいといえる。ただ、背景を探ると、県の課題が浮かんでくる。

奈良に追い抜かれ…

県内の観光消費額と観光客数は平成23年度から増加傾向が続いていたが、いずれも29年をピークに伸び悩んでいる。要因の一つとされるのはインバウンドだ。

国内では10年近く前からアジアを中心にインバウンドが急増。中でも関西国際空港に到着後、大阪で飲食や買い物をし、京都の神社仏閣をめぐるコースの人気が高く、隣接する兵庫の観光客数も伸びていった。

しかし、世界的ホテルチェーンがほとんどないなどインバウンドへのアピールに乏しく、県内での効果は次第に限定的に。一方、神社仏閣の魅力をアピールしてきた奈良は人気が上昇。兵庫を上回る勢いでインバウンドの数を伸ばした。

日本政府観光局によると、訪日外国人の都道府県別訪問率ランキングで、兵庫は28年に奈良に抜かれた。近畿2府4県では大阪、京都、奈良に次ぐ4位に転落し、その後も差は広がっている。

ご近所観光に活路

海外シフトを強めていた国内の観光産業にあって、インバウンドの伸びを欠く兵庫はコロナ禍による影響が比較的少ない-。皮肉ともいえるこの状況をピンチの中のチャンスととらえる動きもある。

淡路島観光協会の福浦泰穂事務局長は「淡路島への観光客は、7割以上が京阪神から。海外や首都圏など遠いところからの観光客に依存していなかったから、コロナによるダメージからの回復が比較的早いのは間違いない」と指摘する。

淡路島はコロナ禍でも関西から「近場のリゾート」として人気を集めた。「関西の奥座敷」として知られる有馬や城崎などの有名温泉地も、関西圏のサラリーマンや家族連れが週末に訪れやすい観光スポットだ。

県が起爆剤として期待するのは、こうした観光資源を生かしたマイクロツーリズム。車による移動を中心とし、自宅から1~2時間の移動圏内の〝ご近所〟で楽しむ形は、コロナ禍の観光として最適で、担当者は「全国区の観光地である大阪や京都に比べて、関西からの観光客が多い兵庫はマイクロツーリズムに向いている」とみている。

一方で2025年大阪・関西万博などを見据え「インバウンドへのアプローチもこれまで以上に必要となる」とも強調。国内外を問わず観光客を引きつける魅力をつくり出す。県に課された宿題は、コロナ前後で変わりはない。(木津悠介)