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SNS中傷 プロバイダーに削除義務も 木村花さん母、響子さん(44)

死去した女子プロレスラー木村花さんの母、木村響子さん=5月19日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ(酒巻俊介撮影)
死去した女子プロレスラー木村花さんの母、木村響子さん=5月19日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ(酒巻俊介撮影)

《昨年5月に女子プロレスラーだった娘の花さん=当時(22)=を亡くした。花さんは生前、フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演していたが、SNS上で度重なる中傷を受け、書き込みを苦にして自ら命を絶ったとみられる。》

今もどこかでSNSの誹謗(ひぼう)中傷に苦しんでいる人がいると考えると、心が痛む。発信者の思いとは違う形で受け止められたり、言葉をゆがめられたりする。

悪質な投稿者を特定するのに、現状では情報開示や裁判といった煩雑な手続きを経なければならず、時間も費用もかかり、救済までのハードルが高い。人権侵害に当たるような書き込みについては、プロバイダーに投稿の削除を義務付ける法整備が必要と考えており、政治の力で進めてもらいたい。

また、被害者救済のための窓口を増やすことも欠かせない。一人でも多くの人が理不尽な状況から救われる世の中になってほしいと切に願う。

9月3日には花の誕生日に合わせ、NPO法人「リメンバーハナ」を立ち上げた。二度と悲しい出来事が起こらないでほしいとの気持ちを込めた。

こうした問題への理解は少しずつ広がっている。SNS上の誹謗中傷の厳罰化に向けた署名活動や、小学生や大学生への講演などが、私の生きる理由となっている。

昨年5月に花が亡くなってから、何度も花がいない現実に打ちのめされた。「どうしたら助けられたのか」と今も考える。花が笑って生きられるような優しい世界に少しでも近づいてほしいが、私個人の努力だけでは実現は難しい。

花への中傷については、投稿者に侮辱罪で科料9千円の略式命令が出たが、罰としてはあまりに軽かった。国は侮辱罪の厳罰化を検討しており、実現すれば加害者への懲役刑が導入され、時効が1年から3年に延びる。被害者が一刻も早く救済されるよう検討を深めるとともに、再犯防止に向けた加害者へのカウンセリングといったアプローチも検討してほしい。状況の改善に向けた速やかな動きを期待している。

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