現実とは異なった世界の住民となって、さまざまな人と交流する-。そんな誰もが一度は空想したことを実現するデジタル技術が「メタバース」だ。3次元(3D)の仮想空間であるメタバースの中で、自分の分身が歩き回って同じ空間にいる人々とリアルタイムで交流できる。文字や画像、動画のやりとりが主な会員制交流サイト(SNS)の次に流行するインターネットサービスとして、多くのIT企業が力を入れ始めている。米交流サイト大手フェイスブック(FB)もメタバースの開発に力を入れるため、社名変更すると報じられている。
■「別世界」に没入
メタバースとは米国のSF作家ニール・スティーブンソンが1992年に発表した小説「スノウ・クラッシュ」に登場したインターネットの仮想空間の名前。「超える」という意味の「メタ」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語だが、明確な定義は定まっていない。
「別世界」に没入するという広い意味でとらえると、国民的ロールプレーイングゲーム(RPG)の「ドラゴンクエスト(ドラクエ)」なども、メタバースの一種といえるかもしれない。9月末に亡くなったすぎやまこういちさんが作曲したクラシック調の音楽を聴きながら、別世界での冒険に夢中になった人も多いだろう。