検察の強引な取り調べを認定 起訴6人で唯一無罪に

学校法人明浄学院の資金21億円を横領したとして、業務上横領の罪に問われた東証1部上場の不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)前社長、山岸忍被告(58)の判決公判が28日、大阪地裁で開かれ、坂口裕俊裁判長は無罪(求刑懲役3年)を言い渡した。この事件では、主犯格とされる法人元理事長ら関係者6人が起訴され、うち5人が起訴内容を認めてすでに地裁で有罪判決を受けている。だが、山岸前社長だけは一貫して起訴内容を否認。検察側による捜査で、元部下に対する強引な取り調べがあったと地裁が認定したことが、山岸前社長の判決に大きく影響した。

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判決によると、事件の共犯として令和元年12月に逮捕された山岸前社長の元部下への取り調べで、検察官が元部下の責任をこう追及したとされる。

元部下は山岸前社長に18億円の貸し付けを提案した人物。当初の取り調べでは犯行計画の全容について「前社長は知らなかった」と述べたが、重い責任を強調する検察官の発言を受け、前社長の共謀があったと供述を変えた。判決で坂口裕俊裁判長は「供述は変遷しており信用できない」と指摘、検察は有罪立証の柱を否定された。

検察当局は、大阪地検特捜部による約11年前の押収資料改竄(かいざん)事件後、取り調べの適正化を目的に録音・録画の対象事件を拡大し、今回の取り調べでも実施された。 無罪判決後の会見で弁護側は、提供された録音・録画のデータが今回の無罪判決を導いたとした上で「なぜ問題のある取り調べがなされたのか。供述頼みではなく、客観証拠の精査を十分にすべきだった」と検察の捜査を批判した。

これまでに有罪とされた5人の判決では、山岸前社長との共謀が認定されたケースもある。だが、ある捜査関係者は「それぞれの裁判で争点が違う。提出された証拠に基づき判決が出されている」として影響はないとの見方を示している。