正論

投票こそ国民の第一の「義務」だ 日本財団会長・笹川陽平

日本財団の笹川陽平会長
日本財団の笹川陽平会長

「言論の府」たる国会の低迷が指摘されて久しい。わが国の国政選挙における投票率の低さ、とりわけ若者の投票率の低さの一因は低調な国会論議にあると思う。国を支える若者の投票率の低さは国の将来を危うくしかねない。高い投票率こそ国会、ひいては政治の力を強くする。31日に投開票が行われる衆院選に一人でも多く参加されるよう訴える。

世界でも低い日本の投票率

近年、わが国の国政選挙の投票率は低下傾向にある。平成29年の前回衆院選も53・68%と戦後2番目の低さだった。28年から4年間を対象とした経済協力開発機構(OECD)の調査でも、日本は加盟38カ国中34位と低位に位置している。中でも若者の投票率の低さが目立ち、28年の改正公職選挙法の施行で選挙権が18歳に引き下げられたのに伴い注目された10代の投票率も40・49%と極めて低い数字に留(とど)まった。

日本財団が一昨年秋、米英両国や中国、インドなど計9カ国の17~19歳各1000人を対象に実施した意識調査で、「自分で国や社会を変えられると思う」と答えた日本の若者は18・3%、日本に次いで低かった韓国の半分以下だった。さらに自国の将来について「良くなる」と答えた若者は9・6%と突出した最下位だった。逆に「悪くなる」の回答は4倍の37・9%に上り、戦後、平和憲法の下、豊かで安全な社会を築いてきた日本で「なぜ?」といった衝撃を呼んだ。

近年の格差の拡大などさまざまな要因があろう。筆者は、世の中がどのような方向に進み、それに対して、自分がどう向き合い、何をすべきか、若者に迷いがあるのが一番の原因と思う。その象徴が国と地方を合わせ国内総生産(GDP)の2・2倍、約1200兆円に上る長期債務(借金)の存在だ。『文芸春秋』11月号に財務省の矢野康治事務次官が「このままでは国家財政は破綻する」の一文を寄せ、衆院選の主要テーマの一つともなっている。

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