徴用工訴訟 動かぬ韓国、原告は1000人超え 最高裁判決から30日で3年

韓国最高裁判所=ソウル(桐山弘太撮影)
韓国最高裁判所=ソウル(桐山弘太撮影)

【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工訴訟問題で、日本企業に賠償を命じた韓国最高裁判決から30日で3年を迎える。韓国で提訴した原告は千人を突破、日本企業の資産売却も間近に迫っている。日韓関係のさらなる悪化を回避するため、韓国国内では水面下で解決策が議論されるが、日本政府側との主張の隔たりは大きい。文在寅(ムンジェイン)政権も消極的な対応に終始している。

原告団によると、2018年の最高裁判決以前に16件提起されていた同種訴訟は、同判決後計70件まで増加。遺族を含む原告は1042人に達した。民事訴訟上の時効成立により、今後さらに増加する可能性は低いとみられる。

日本企業敗訴の3件の確定判決以降、最高裁の審理は事実上停止状態にある。下級審では原告勝訴が相次ぐ一方、日韓請求権協定を根拠に「訴訟による賠償請求は認められない」とし、最高裁判決を否定する異例の地裁判決も下された。

「時効成立」で賠償対象を制限する新たな判断も出ている。ソウル中央地裁は「元徴用工らの個人請求権が消滅していない」とする最高裁の初判断から3年が経過した15年に提訴期限を迎えたとして、その後の提訴は無効と結論づけた。

こうした判断は今後の最高裁審理でも争点になるとみられるが、18年判決後にも裁判官5人が交代し、全13人のうち12人が文政権下で任命された現状を踏まえれば、基本的には日本企業敗訴の確定判決が踏襲される見通しだ。国民大学の李元徳(イウォンドク)教授は「証拠不十分のケースも多く、賠償請求が認められるのは300人程度ではないか」と分析する。

9月には資産売却命令が出され、「半年後」(原告側)の現金化も現実味を帯びる。政治主導の解決が急がれる中「現実的な解決策の一つ」(朴喆熙(パクチョルヒ)ソウル大教授)とされるのが、韓国政府が賠償を肩代わりする「代位弁済」案だ。国会では「対話で解決しようとするなら、いずれはその方向に向かう」(韓日議員連盟の金振杓(キムジンピョ)会長)との声も上がるが、原告代理人の弁護士は28日の記者会見で「代位弁済は判決を無効化させる方策で(受け入れは)不可能だ」と反発を強めた。

原告側は「被害者と日本企業の協議実現」を条件に資産売却手続きを停止すると提案。国会では基金設立による賠償金拠出法案も発議されているが、日韓政府間の協定で問題は「解決済み」とする日本政府側が応じる可能性はいずれも極めて低いとみられる。

文氏は今年の年頭会見で、日本企業の資産売却は「望ましくない」と述べたものの、その後具体的な解決策を提示していない。複数の与党関係者は「現政権に問題に取り組む意思はない。次期政権に先送りされるだろう」と指摘する。