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日本式資本主義の行方問われる ライリー・ウォルターズ 米ハドソン研究所日本部副部長

米ハドソン研究所日本部副部長 ライリー・ウォルターズ氏(塩原永久撮影)
米ハドソン研究所日本部副部長 ライリー・ウォルターズ氏(塩原永久撮影)

今回の衆院選では日本経済の在り方が最大の争点となっていると考えている。

岸田文雄首相が提示した「新しい資本主義」は、消費者や働き手を重視しながら経済の強靱(きょうじん)化に取り組む動きにみえる。バイデン米大統領が掲げる中間層重視の政策「より良き再建(ビルド・バック・ベター)」と類似点が実に多い。

少子高齢化対応など先進国経済の先頭で試行錯誤してきた日本の民意が、所得の平等や分配に重きを置いた資本主義を模索する岸田氏の主張に、どのような評価を下すか注目している。

岸田氏は家計支援を通じて消費を後押ししようとしているようだ。菅義偉前首相が進めた携帯電話の料金引き下げや、観光支援事業「Go To トラベル」が家計負担の軽減を狙ったのと同じだ。世論調査では自民党の議席減が見込まれているが、岸田氏が踏み込んだ消費重視の政策を追求できるかは、与党の獲得議席数にかかっている。

一方、近年、日本の通商外交は存在感を高めた。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をまとめ、日本にレバレッジ(交渉力)を与えた。

しかし、(労働者保護を優先する)米国がTPPに復帰することはないだろう。ただ、中国が加入申請したことで、米国がどのような通商政策を進めるべきかという議論が、米政界で活発化すると思う。

TPPなどの貿易協定は議会承認が必要だが、行政権限で進められる分野もある。日米の通商関係の強化に向けて、デジタル商取引やサプライチェーン(供給網)、輸出管理といった個別項目の協力が主なテーマになっていくだろう。いずれも議会承認は必要ない。

米国がTPPに関心を示さなくても、日本のリーダーが米国と通商面で協力を深められる分野は少なくない。(聞き手 ワシントン 塩原永久)