ポトマック通信

北京五輪に自由を

中国共産党創建100年を記念する祝賀大会で大型スクリーンに映し出された党総書記の習近平国家主席と掲揚される国旗=1日、北京の天安門広場(共同)
中国共産党創建100年を記念する祝賀大会で大型スクリーンに映し出された党総書記の習近平国家主席と掲揚される国旗=1日、北京の天安門広場(共同)

「もし、米国の選手たちがそこにいるのなら…」。上院外交委員会。来年の北京冬季五輪について議員から考えをただされたバーンズ元国務次官は参加をあくまで仮定として話し始めた。

新疆(しんきょう)ウイグル自治区や香港の人権弾圧に抗議して北京五輪のボイコットを求める声が米国にはまだ根強い。中国大使にバイデン大統領から指名されたバーンズ氏の承認がかかった公聴会は真剣そのものだった。

「彼らも他の国の選手たちも自分たちの考えを話すことができ、自分たちが言いたいことを言うためにメディアにアクセスできるようにしてもらいたい」

「なぜなら」。同氏は締めくくった。「彼らの出身は民主主義国だからです」。ふと、今夏の東京五輪の選手たちを思い出した。

競技場や選手村での他国選手との交流や食堂でお気に入りのメニューをSNS(会員制交流サイト)に投稿し、世界中のメディア相手に発言した。ベラルーシの陸上選手が独裁者の待つ母国への帰還を免れ第三国に亡命したのも、不当を訴えることができたからだ。

東京で当たり前だった選手の「言論の自由」。米国はそれを北京五輪参加の条件にしようというのか。

10年ぶりに赴任したワシントンは米中対立の渦中にある。経済や軍事力だけでなく自由を本気で守る戦い。一切の妥協はないと実感した。(渡辺浩生)