夢と白球、追い続けた先に 阪神タイガースWomen(ウィメン)

阪神タイガースWomen
阪神タイガースWomen

おなじみのタテジマのユニホームがグラウンドを駆け抜ける。だが背番号3の上には「OHYAMA」ではなく「MIURA」の文字が…。そうこのチームは、阪神タイガースが設立した女子硬式野球のクラブチーム「阪神タイガース Women(ウィメン)」だ。「埼玉西武ライオンズ レディース」に続く、NPBのプロ球団2番目の女子クラブチームとして今年1月に創設された。

全日本女子硬式野球選手権大会関西予選の淡路ブレイブオーシャンズ戦。浅野桜子選手のタイムリーヒットで盛りあがる高塚南海、田中亜里沙、中江映利加の3選手(左から)=鳴尾浜球場
全日本女子硬式野球選手権大会関西予選の淡路ブレイブオーシャンズ戦。浅野桜子選手のタイムリーヒットで盛りあがる高塚南海、田中亜里沙、中江映利加の3選手(左から)=鳴尾浜球場

クラブチームは、プロや実業団とは異なるアマチュアチームで、基本的に球団と選手は雇用契約を結ばず、年俸や給料などは支払われない。多くの選手が仕事や学業との両立だ。

株式会社ゼンコーサービスで勤務する植村美奈子選手
株式会社ゼンコーサービスで勤務する植村美奈子選手

日本女子プロ野球リーグの公式サイトによると、女子野球の競技人口は、学童野球を含め2万人を超える。硬式では高校や大学、プロなど約50チームが活動する。ただ、プロチームは今年7月、所属選手が0人となり、事実上の活動休止に陥った。

男子のプロ選手が使用するバットでバッティング練習に臨む前田桜茄選手はチームで一番小柄の身長150センチ。「笑顔よりかっこいい瞬間を見てほしい」と話す
男子のプロ選手が使用するバットでバッティング練習に臨む前田桜茄選手はチームで一番小柄の身長150センチ。「笑顔よりかっこいい瞬間を見てほしい」と話す

受け皿の一つがクラブチームで、タイガースWomenでは、入団セレクションを行い、選手を獲得している。元女子プロの選手や学生など18人が在籍する。

淡路ブレイブオーシャンズ戦で適時打を放ちポーズを決める前田選手
淡路ブレイブオーシャンズ戦で適時打を放ちポーズを決める前田選手

監督は元タイガースの野原祐也さん(36)。平成20年のドラフト会議で、阪神タイガースの育成枠1位に指名された。日本人選手としては初の育成選手から支配下登録となり1軍にも在籍。24年に戦力外通告を受けて、富山サンダーバーズに移籍、28年に現役を引退した。

結成後初めての試合で円陣を組む阪神Womenナイン=鳴尾浜臨海球場
結成後初めての試合で円陣を組む阪神Womenナイン=鳴尾浜臨海球場

普段の活動は週2、3回の個別練習と週1回の全体練習となる。場所は甲子園の室内練習場や鳴尾浜球場。試合も定期的に行われ、全日本女子野球連盟と関西女子硬式野球連盟に登録し、大会に参加する。今季の成績は13勝2敗。

関西女子硬式野球選手権ラッキートーナメント大会で優勝。記念写真では笑顔があふれた=滋賀県東近江市の湖東スタジアム
関西女子硬式野球選手権ラッキートーナメント大会で優勝。記念写真では笑顔があふれた=滋賀県東近江市の湖東スタジアム

チームのエース、植村美奈子投手(28)は昨季まで女子プロ野球に在籍し、10年間で66勝を挙げた。平日は警備会社で事務の仕事をしている。幼い頃から阪神ファンで、甲子園球場に足を運び、熱いプレーに元気をもらう。

WELFARE戦で力投する植村美奈子投手
WELFARE戦で力投する植村美奈子投手

初代主将の三浦伊織選手(29)は、11年間のプロ生活でMVPを3度受賞〝女イチロー〟の異名を持つ。

マウンドでガッツポーズする植村投手
マウンドでガッツポーズする植村投手

普段は阪神球団の職員としてタイガースアカデミーベースボールスクール専属コーチを務めている。「野球をやっている女の子が増えていくことが女子野球の普及につながる。阪神タイガースWomenに入りたいと思ってもらえるように取り組みたい」と笑顔をみせる。三浦さんらの就任でアカデミーに通う女の子が昨年の3倍になったという。

阪神タイガースアカデミーベースボールスクールで子どもたちに指導する三浦伊織選手=兵庫県西宮市
阪神タイガースアカデミーベースボールスクールで子どもたちに指導する三浦伊織選手=兵庫県西宮市

女子野球を象徴する選手へ―。虎のユニホームを着た阪神タイガースWomenは、その一歩を踏み出したばかりだ。聖地「甲子園」で女子選手の躍動するプレーが見られるときを心待ちにしている。

(写真報道局 水島啓輔)

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