話の肖像画

出井伸之(26)ベンチャー投資で大企業も活性化

マネックスを創業した松本大さん(左)と=平成11年8月
マネックスを創業した松本大さん(左)と=平成11年8月

《1200社を超えるベンチャーへの支援を通じて、多くの出会いがあった》


ベンチャーへの支援はソニー時代から続けていました。その代表格はマネックスグループとフリービットです。

金融会社のマネックスを創業した松本大(おおき)さんとは、インターネットイニシアティブ(IIJ)の会長、鈴木幸一さんと東京・銀座で飲んでいるときに、鈴木さんから紹介していただいて知り合いました。株式売買委託手数料の完全自由化が翌年に迫っていたころのことでした。

松本さんは「個人投資家向けにオンラインの証券会社を作りたい」と熱く語っていました。僕はその日のうちに「援助しよう」と考えました。平成11年、ソニーは50%出資し、さらに取締役を派遣し、サービス提供に必要なネットワーク技術も提供しました。

これは今で言えばCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)のような考え方で行った投資でした。ソニーはマネックスへの投資により、電子商取引のノウハウを得ましたし、ソニーの金融事業との連携もできました。マネックスは12年に上場し、その後も株価が上昇しましたので、ソニーは投資収益も得ることができました。

マネックスは現在ではグローバル展開し、仮想通貨サービスも提供する金融グループに成長しました。僕はソニー卒業後、社外取締役に就任し、サポートを続けています。松本さんとは個人的にも親しくなり、最近でも鈴木さんも交えて3人で飲むことがあります。

インターネットサービスプロバイダーの運営企業にインフラや技術を提供するフリービットの創業者、石田宏樹(あつき)さんとは、僕が経団連副会長として出席したイベントで、熱心に会社の説明を受けたときからの縁です。

石田さんはソニー創業者の一人である盛田昭夫さんのことをとても尊敬していて、高校生のときに盛田さんに送った1通の手紙に、盛田さんから返事が来たことがきっかけで、通信事業に興味を持ち始めたそうです。