ソウルからヨボセヨ

「独り飯はしません」

来年3月の韓国大統領選で野党陣営の最有力候補とされる尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長はバラエティー番組で「大統領になれば、絶対しないこと」を問われ、「絶対にホンパプしない」と答えた。

ホンパプとは独りで食事をすることで、朴槿恵(パク・クネ)前大統領が独りでの食事を好み、周囲とのコミュニケーションを怠ったと批判されたことが念頭にある。朴氏の意思疎通不足を非難した文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、数えるほどしか記者会見を開かず、同様の批判にさらされた。

尹氏は野党やメディア関係者を含め、さまざまな人と食事をともにしながら、国民の声に真摯(しんし)に耳を傾ける姿勢を強調。朴氏や文氏と同じ轍(てつ)は踏まないとアピールしたかったようだ。昼食や夕食を「必要なら2回ずつでもとる」と話した。

関係者との夕食をはしごすることで知られたのが菅義偉(すが・よしひで)前首相だった。そうして多様な意見を政策に反映させようとした。だが、記者会見では原稿の棒読みが目立った。国民への説明不足との批判がやまず、約1年の短命に終わった。

尹氏は「国民の前から隠れない」とも語った。記者会見での答えづらい質問も避けずに説明を尽くすとの意味らしい。次の大統領には、食事の回数や食事を一緒にした人の多さより、自分の言葉で説明責任を果たした数をぜひ誇ってほしいものだ。(桜井紀雄)