和歌山3区 「二階王国」異例の地元密着選挙、人口400人の村でも演説

拳を突き上げ、気勢を上げる和歌山3区の立候補者の陣営=和歌山県有田川町(一部画像処理しています)
拳を突き上げ、気勢を上げる和歌山3区の立候補者の陣営=和歌山県有田川町(一部画像処理しています)

自民幹事長を歴代最長の5年あまり務めた前職、二階俊博氏(82)が立候補している和歌山3区。「二階王国」とされる強固な支持基盤を誇るが、今回は、82歳という高齢に加え、幹事長退任で影響力低下もささやかれるなかでの選挙戦となった。陣営では13選に向けて「過去最高得票」を目標に掲げるが、二階氏本人が紀伊半島奥地の村まで踏み入るなど異例の「地元密着」選挙を展開している。

「私の政治の原点はふるさとにある」。二階氏は公示翌日の20日、選挙区内にある全国唯一の飛び地の村・北山村に入り、演説した。三重、奈良の両県に囲まれた村の人口は令和2年の国勢調査で404人と、県人口全体の0・04%に過ぎない。選挙区で負けたことがなく、幹事長時代の選挙戦ではほとんど地元入りできなかった二階氏がこの小さな村に入るのは異例だという。

地元関係者によると、当初は予定がなかったが、前日に急遽(きゅうきょ)、二階氏の事務所から連絡があり、慌てて準備を整えた。村内の4カ所に各約30人が集まり、二階氏の滞在時間は予定より約1時間延びた。事務所関係者は「小さな村も大事にするということ」と説明する。

ただ、ある和歌山県議は「(幹事長退任で)影響力が低下したために行ったパフォーマンスでは」とうがった見方をする。

二階氏が13選を目指し立候補の意向を示した10月2日の後援会会合では、過去最高だった平成15年の約14万8千票を超える得票を目指すことを決めた。しかし、ある後援会幹部は「人口が減っており、実際は難しい」と打ち明ける。同県田辺市の市議は「今回票を減らす可能性があるための引き締めでは」とみる。

二階氏は、公示後最初の週末を迎えた23日にも、当初は東京に滞在する予定を変更し、地元入り。田辺市や印南町で個人演説会を開催した。

小選挙区制が導入された平成8年以降、3区では21年を除いて毎回、擁立してきた共産陣営関係者も、二階氏側の「異変」を感じている。

今回、野党統一候補として立候補した共産新人の畑野良弘氏(61)の陣営幹部は「『二階王国』は弱まりつつある」とみる。

異変の兆しは5年前にさかのぼる。

二階氏の出身地・御坊市では平成28年の市長選に、元々は二階氏の支援を受けて市長になった現職と二階氏の長男が対決し、保守分裂に。二階氏は積極的に長男の応援に入ったものの、現職が7選を果たした。

分裂のしこりは残り、前回衆院選では、御坊市で共産候補が二階氏に約1600票差まで詰め寄った。一昨年の県議選御坊市選挙区(定数1)では、同じ共産候補が、二階氏の秘書だった現職を破り初当選した。

今回衆院選に立候補した畑野氏は昨年8月に立候補を表明し、1年以上、選挙区内を歩いている。陣営幹部は「県議選の当選は大きな出来事。その流れを生かし、二階氏支持者らにも支持を広げたい」と力を込める。

3区にはこのほか、二階氏を「親中派」と批判する元総務省職員の諸派新人、本間奈々氏(52)と無所属新人の根来英樹氏(51)が立候補している。(張英壽)