中国の習近平国家主席が「共同富裕(ともに豊かになる)」の理念を強調し、貧富の格差解消に向けた施策を中国共産党の新たな求心力にしようとしている。しかし、高度経済成長で爆発的に増えた富をその特権によって独占し、一般庶民との格差を拡大させてきたのは共産党の支配階級にほかならない。その事実を再認識させる一冊の回想録が、米国や英国で9月に出版された。
暴露本の作者「党は抑圧と統制が本能」
上海出身の投資家で52歳のデズモンド・シャム(沈棟)氏。ビジネスパートナーだった元妻とともに共産党の高官やその親族に食い込み、コネが持つ力を利用してビジネスチャンスをつかみ、莫大(ばくだい)な富を築いた。その半生をまとめた著書「レッド・ルーレット」は、ブラックボックスである中国政界と財界の癒着について赤裸々に暴露している。