オリ、中嶋チルドレン台頭 「育てながら勝つ」が開花

25年ぶりの優勝が決まり、胴上げされるオリックスの中嶋聡監督=10月27日午後、京セラドーム大阪(水島啓輔撮影)
25年ぶりの優勝が決まり、胴上げされるオリックスの中嶋聡監督=10月27日午後、京セラドーム大阪(水島啓輔撮影)

過去20年でAクラス入りは2回だけ。昨季まで2年続けて最下位に沈んでいたオリックスが27日、25年ぶりのリーグ制覇を果たした。栄光に導いたのは、就任1年目の中嶋監督。今季もチームの大黒柱は最多勝、最優秀防御率などのタイトルを獲得したエースの山本と、2年連続首位打者の吉田正だった。ただチーム力を格段にアップさせたのは、昨季途中まで2軍監督を務めていた指揮官が目をかけた「中嶋チルドレン」だ。

高卒2年目の紅林(くればやし)は遊撃の定位置をつかんだ。我慢強く起用された逸材は2桁本塁打を放ち、吉田正が故障で離脱した際は代役の3番に入るまでに成長。中嶋監督は「いなくなったら困る選手になってくれた」と評価する。同期の宮城も13勝を挙げ、左のエースになった。

4番を打つ30歳の杉本は過去5年で通算9本塁打だったが、今季は30本の大台をクリア。これまでは荒い打撃が目立ち、結果が出なければファームに落とされていた。しかし昨夏、「一緒に行くぞ」と1軍へ連れて上がったのが、2軍監督から監督代行に就いた中嶋監督だった。

1、2番を打つ福田、宗(むね)のコンビも、それぞれ二塁から外野、外野から三塁に転向してレギュラーに定着。以前は「結果を出せなかったら交代させられる」と萎縮していた選手たちが、指揮官の揺るがぬ信頼に腰を据えてプレーできるようになった。

「育てながら勝つ」という信念で、原石を辛抱強く磨き上げてきた中嶋監督。「監督のために優勝したい」と成長した生え抜きのまな弟子たちと栄光をつかんだ。 (鮫島敬三)

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