秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまと小室圭さんが26日、結婚された。皇室典範では「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と規定されており、皇室は17方に減少した。
松野博一官房長官の同日の記者会見でも、ご結婚に関連し、皇族数の減少に関する質問が飛んだ。ただ、松野氏は菅義偉政権が3月に立ち上げた安定的な皇位継承を検討する有識者会議に言及し「岸田文雄政権でも引き継ぎ、その議論の結果を尊重していきたい」と述べるにとどめた。
天皇は憲法に規定する法的役割に加え、国と国民の安寧を祈念する役割も担われており、安定的な皇位継承は国家の根幹に関わる。
現在、皇位継承権を持つ男性皇族は、①秋篠宮さま②秋篠宮さまの長男、悠仁さま③上皇さまの弟の常陸宮さま-の3方に限られ、有識者も「憂慮すべき状況」と指摘する。仮に皇族数の減少に歯止めがかからないまま悠仁さまが皇位を継承された場合、お支えする皇族が極端に少なくなり孤立する恐れもある。
こうした課題に対処するため、政府の有識者会議では、皇族数の確保策として、①女性皇族が婚姻後も皇室に残る②旧宮家の男系男子の子孫が養子縁組などで皇籍に復帰する-の2案に絞り、最終報告を作成する方針を確認している。
今回の衆院選では、安定的な皇位継承策をめぐる表立った論戦は交わされていないが、「天皇」「皇室」に関する主張は、それぞれの政党固有の国家観、歴史観と深く結びついている。
岸田首相は9月の自民党総裁選で、安定的な皇位継承策に関し、「旧宮家の男系男子が皇籍に復帰する案も含め、女系天皇以外の方法を検討すべきだ」と明言した。男系継承の重要性を主張する一方、母方のみに天皇の血筋を持つ女系天皇は否定。女系天皇は皇統の断絶を意味するからだ。甘利明幹事長も今月21日の街頭演説で「われわれは命がけで、(男系継承の)価値観を守る」と訴えた。
これに対し、立憲民主党は「皇位の安定的継承と女性宮家の創設に向けて国民的議論」を深めると公約に書き込んだ。
立民は令和元年6月に皇位継承に関する論点整理をまとめている。女系天皇の容認に加え、女性皇族と婚姻した配偶者や子供にも「皇族の身分を付与することが自然」などと指摘したが、旧宮家の皇籍復帰には否定的な見解を示す。
共産党の志位和夫委員長も今月14日の記者会見で、女性天皇、女系天皇、女性宮家を容認する立場を強調。「憲法は天皇の地位を『日本国民統合の象徴』と規定付けており、男性に限られる合理的根拠はどこにもない」と説明した。
一方、日本維新の会は男系継承を重視し、旧宮家の皇籍復帰に前向きだ。国民民主党は衆院選の公約で、「主権の存する日本国民の総意に基づくかたちで解決へと導く」と触れるにとどめている。公明党は平成29年2月、女性宮家創設などについて「今後の検討課題」との党見解を出したが、今回の衆院選では具体的な解決策に触れていない。(千田恒弥)