【ソウル=桜井紀雄】韓国の軍人出身で、1987年に「民主化宣言」を発表するなど、民主化に道を開いた盧泰愚(ノ・テウ)元大統領が26日、ソウル市内の病院で死去した。88歳。小脳萎縮症などで闘病生活を続けてきたが、病状が悪化した。
盧氏は79年に当時の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領暗殺事件後、全斗煥(チョン・ドゥファン)氏が主導したクーデターに参加。全斗煥政権を支えた。87年の直接投票による大統領選で当選し、88年のソウル五輪を成功させたほか、共産圏との関係改善に乗り出し、旧ソ連や中国との国交正常化を果たした。
北朝鮮と国連へ同時加盟するなど、韓国の国際的地位の向上に貢献。90年に訪日し、天皇陛下に訪韓を招請したが、慰安婦問題が拡大し、実現しなかった。
一方で、退任後に不正蓄財が発覚。クーデターや民主化デモ弾圧の責任を問われ、懲役17年が確定したものの、97年に赦免された。