前進守備の左翼手の頭を軽々と越え、ヤクルトの中村の打球は左中間フェンスに当たった。三回に2点を勝ち越してなお1死二、三塁で、今永の速球を豪快に振り抜き、2点二塁打で試合の流れを大きく引き寄せた。「1打席目、抑えられたので絶対にやり返す気持ちだった。気持ちで打った」と小さく拳を握った。
山田とともに2015年の優勝を知る数少ない主力野手だ。その後の5年間は最下位が3度と低迷。捕手としても自信を失い、ベンチを温める日も増えた。
今季はキャンプで球団OBの名捕手、古田氏が臨時コーチを務めた。成功の秘訣は「その気になること」と冗談半分で言われたのが、胸に響いた。守備でも自信を取り戻し、チーム防御率改善にもつながり、攻守で優勝に貢献した。