わたしはこう見る・衆院選

フランス国際関係研究所(IFRI)日本研究責任者 セリーヌ・パジョン氏

フランス国際関係研究所(IFRI)日本研究責任者、セリーヌ・パジョン氏(三井美奈撮影)
フランス国際関係研究所(IFRI)日本研究責任者、セリーヌ・パジョン氏(三井美奈撮影)

今回の衆院選は重要だ。安倍晋三元首相の政治の継承をめぐって、国民の審判を問う初の選挙になる。世論調査を見ると、国民は継続を求めているように見える。

岸田文雄首相は安倍氏のようなカリスマ性はないが、現実主義者と見える。外相時代も派手さはなかった。それでも2015年、日韓合意で慰安婦問題の最終的解決を確認し、大きな成果を残した。この合意は日本の立場を安定させた。日仏関係では14年に外務・防衛閣僚協議(2プラス2)が始まり、海洋安保などの協力が進展した。

岸田氏は外相時代の知名度がある。衆院選で十分に政権基盤を固めれば、国際社会でもリーダーシップを発揮できるだろう。

米中対立が深まる中、世界における日本の役割は極めて重要になった。日本は民主主義国で、忠実な米国の同盟国である一方、中国とも隣人として関係を保つ。米国の対中デカップリング(経済切り離し)と距離を置きながら、国益に関わる重要産業を中国の影響から守っている。欧州連合(EU)はこうした日本の姿勢を高く評価し、関係構築を目指している。

フランスは来年1月、EU議長国となり、EUのインド太平洋戦略を主導する。デジタル網、環境対策などで、東南アジア、インドとの広いパートナー関係を目指すため、日本との連携がカギになる。

一方、日本国内は緊張をはらんでいるように見える。国民は「国をもっと開くべきか」「外部に対して閉じるべきか」の間で迷い、移民受け入れ、防衛費増額の是非など、重要問題への取り組みは中途半端なままだ。新型コロナウイルス禍で、格差是正などへの関心も高まった。大胆に政策を進めるには、安定した長期政権が必要だろう。(聞き手・パリ 三井美奈)