参院静岡補選

勝敗の分かれ目 二人三脚で知事選と連勝

静岡県庁で川勝平太知事(左)と写真に納まる、参院静岡選挙区補選で初当選した山崎真之輔氏=25日午後
静岡県庁で川勝平太知事(左)と写真に納まる、参院静岡選挙区補選で初当選した山崎真之輔氏=25日午後

衆院選(31日投開票)の前哨戦とされ、注目を集めて24日投開票された参院静岡選挙区補欠選挙は、野党系候補の無所属新人の元県議、山崎真之輔氏(40)=立憲民主、国民民主両党推薦=に軍配が上がった。勝敗の分かれ目は、どこにあったのか。

「スタートは厳しく、結果は最後の最後までまったく分からなかった」。24日深夜、連合静岡(静岡市駿河区)。午後11時過ぎに「当確」の報を受け、山崎氏が目をはらして万歳を繰り返した熱気が残るなか、関係者はこう振り返った。

7月に正式出馬表明した山崎氏は自民と一騎打ちを想定したが、共産党が8月に鈴木千佳氏(50)を擁立し、与党批判票が割れることに。さらに告示3日前に岸田文雄新内閣が誕生し、与党に追い風とみられたからだ。予想より前倒しされたことで期間が重なった衆院選では、立民と国民が競合する選挙区もあり、連合を含めた参院補選での連携には不安もあった。

懸念払拭を、山崎氏を「弟」と呼んで知事選での〝参謀〟とした川勝氏に託した陣営。その期待を大きく越えて「風向きが変わった」(山崎氏)というほどの転機になったのは、初日の7日の出陣式への飛び入り応援演説だった。陣営幹部にも〝サプライズ〟だった。

川勝氏は街頭で「知事選の延長戦」「争点はリニア工事をめぐる水問題」「私が『県民党』党首で山崎君が幹事長」などと熱弁し、二人三脚で活動。6月の知事選で、リニア水問題などを通じて演出した「巨大与党に立ち向かう無所属」の構図を山崎氏にも重ね、知名度を引き上げたとみられる。今回の補選は、自民の参院議員が知事選で川勝氏に挑むため辞職したことに伴うものだった。

最終的には無党派層だけでなく自民支持層も一部獲得した山崎氏は25日、勝因を「巨大与党から政治を変えてほしいという有権者の想像以上の熱」と振り返った。県庁を訪ねての当選報告では川勝氏から「国会で成長してほしい」と激励を受け、今後実現したいことは知事選でも使われたフレーズ「東京時代から静岡時代へ」の具体化だとして、引き続き〝川勝党〟で連携を密にする考えを示した。

ただ、国政選では有権者の関心も異なるなか、票差は知事選時(約33万2千票差)ほどは開かず、約4万8千票差だった。山崎氏は今後の衆院選期間中、「仲間を増やす」と立民・国民候補の応援に入り、勝利の勢いをつなぐとしている。

一方、一敗地にまみれた自民。党本部によると、岸田首相は「厳しい選挙だから応援に入るのは控えた方がいい」と助言する周囲の制止を振り切り、2度も入るなど総力戦で挑んだが、勝利につながらなかった。

出馬表明が8月と遅く、出遅れ感があった自民党公認の元御殿場市長、若林洋平氏(49)=公明党推薦=だが、告示前は、野党系陣営の分裂に新首相誕生の期待感が重なり「勝機が見えてきた」との見方が広がった。

ところが選挙戦が火ぶたを切ると、川勝氏が初日から〝参戦〟。一気に風向きが変わり、当初の楽観ムードは「錯覚」(若林氏陣営幹部)だったことに気付かされる。山崎氏にとって最強の切り札ともいえる援軍登場に、若林氏陣営は「相手陣営を本気にさせてしまった」「一度ならず何度も知事が顔を出すのは想定外だった」と唇をかむ。

選挙戦後半、衆院選候補との共闘作戦で接戦に持ち込んだが、知事選同様に無党派層への支持が広がりを欠いたことが響いた。県連幹部は衆院選への影響について「しっかりとハチマキを締め直し、勝ち抜いていく」「敗北を糧にするしかない」と危機感を強める。