わたしはこう見る・衆院選

米中対立、日露関係を困難に 露科学アカデミー極東研究所・日本研究センター研究員 ウラジーミル・ネリドフ氏

ロシア科学アカデミー極東研究所・日本研究センターのウラジーミル・ネリドフ研究員(同氏提供)
ロシア科学アカデミー極東研究所・日本研究センターのウラジーミル・ネリドフ研究員(同氏提供)

衆院選でどのような結果が出ようとも、ロシアと日本の平和条約交渉に進展は見込めないだろう。露日関係の根本的な問題は、平和条約が存在しないことだ。国境画定の問題でも、両国はともに譲歩しない姿勢を示している。いかなる解決策を模索しても、一方あるいは双方にとって受け入れられないだろう。

さらに別の要素が露日関係を困難にしている。

第1に、現在は両国とも国内の新型コロナウイルス対策に追われ、即座に成果が得られないような外交問題、すなわち平和条約交渉に割く余力はない。

第2に、米国と中国の対立の深刻化だ。ロシアと中国は一般的な意味での同盟国ではないが、多くの問題で立場を共有する。それがロシアと(米国の同盟国である)日本の双方に緊張と不信を生み出している。

第3に、露日間の経済的な結びつきが弱いことだ。両国の貿易規模や投資協力はなお限定的だ。このことが、ロシアに領土問題で日本に譲歩する必要性を感じさせなくしている。

ロシアの日本研究者も自民党が衆院選でどのような結果を残すかに注目している。自民党が第一党になるのはほぼ確実だが、多数の議席を失うようなことがあれば、長期的には自民党による統治の正当性に疑問符が付く。1990年代前半や2000年代後半のような与野党による政権交代が再び起きるのではないか、という疑念が生じるだろう。

岸田政権が存続した場合、従来の自民党の政策方針から大きく離れることはないだろう。格差の是正や新型コロナ対策、防衛予算の増額といった公約には、あまり革新的な要素はない。ただ、軍事に関係する公約は、露メディアの間で一定の否定的な反響を呼ぶだろう。(聞き手 モスクワ 小野田雄一)