山梨県、家畜福祉の国内初認証制度へ エシカル消費を意識

放牧で牛を育てアニマルウェルフェアを実践している山梨県内の農場(山梨県提供)
放牧で牛を育てアニマルウェルフェアを実践している山梨県内の農場(山梨県提供)

山梨県は、乳牛や豚など畜産家畜の福祉向上を目指す「アニマルウェルフェア(AW)」の認証制度を、年内をめどに策定し運用を始める。AW認証は世界的にみても取り組みが始まったばかりで、国内の自治体では初めて。先行することで、山梨の畜産品のブランド価値を高め、とくに倫理性を重視し環境保全や社会貢献を意識する「エシカル消費者」へ強く訴求する。

家畜に苦痛を与えない

AW認証制度は、消費者団体や放し飼いなどを先駆けて実践する農家、AWに詳しい大学教員らによる検討会議で今年5月から議論し、このほど方向性や概要が固まった。

現時点で対象とする家畜は、乳牛、肉牛、養豚、採卵鶏、肉用鶏。飼育面積や飼育環境、体の状態、運動など家畜ごとに10項目を設定。飼育面積では肉牛が1頭当たり5・0平方メートル以上、養豚は同1・1平方メートル、採卵鶏では1羽で0・15平方メートルとした。

極端に痩せたり、太ったりした個体が全体の20%以上いないかや、給水状況、飼育場のアンモニア濃度基準なども設定。肉用牛では、除角や去勢の際に麻酔を使用するなど牛に苦痛を与えない方法をとっているかも盛り込まれている。

認証は大きく2段階。まずAW認証の講習会参加や取り組み計画を表明することで取得できる「エフォート」。その上位として、認証基準に対し一定の達成がなされている場合には「アチーブメント」が取得でき、達成度合いに対し3段階で評価する。

検討会議の座長を務める信州大の竹田謙一准教授は「世界的な流れで、家畜が肉になるときも、倫理的な配慮が必要になっている」と説明する。背景にあるのが国連が目指すSDGs(持続可能な開発目標)だ。目標の1つ「飢餓をゼロに」の達成のためには、家畜生産をより持続可能にする必要があり、同時に動物衛生と福祉の推進が欠かせないとされるからだ。