衆院選では「分配」論がにぎやかだが、経済のパイが拡大しない中で分配を増やせというのは絵に描いた餅同然どころか、日本再生への道が遠のきかねない。優先すべきは成長だ。
主要政党の主張をみると、自民党は「分厚い中間層」を再構築するとうたい、看護師、介護士などの所得向上、数十兆円規模の経済対策などを訴えている。大胆な成長投資を目指すとしているものの、第2次安倍晋三政権と菅義偉政権が掲げてきて未達のままの目標値、インフレ率2%、名目3%、実質2%の経済成長率の達成については触れず、成長のゴールが見えない。成長と分配を柱にするというが、これでは具体的な数値だけが際立つ分配論に押されてしまう。
公明党と野党の多くは現金給付による分配に力点を置いている。公明党は高校3年生までの子弟に一律10万円相当の給付を力説する。